先週金曜日(6月7日)発表された米国5月の非農業部門雇用者増は、エコノミストの事前予想(180千人)の半分に届かない75千人だった。5月の雇用者増が少ないだろう、ということはその前に発表された民間給与計算会社ADPのデータから推測できたが、市場は連銀の政策金利引き下げの可能性が高まると好感して株価は続伸した。ダウは263ドル(1%)上昇した。
しかし中期的に見ると懸念材料は多い。
第一に関税引き上げの影響が経済全体に大きな影響を与える前に企業が雇用に慎重姿勢を示したことを示唆するからだ。メキシコとの関税問題は難民対策で交渉の目処が立ち追加関税は見送られたが、一方中国との交渉は具体的目処は立っていないというムニューシン財務長官の発言が報じられている。
もし中国との関税問題が経済全般に大きな影響を与えるようになってくると、景気の鈍化は一層顕在化してくる可能性が高い。
雇用統計が景気の先行指標であるか遅行指標であるかは議論のあるところだろうが、仮に遅行指標だとすると景気は既に弱含みの局面に入っていたということができる。
一旦株価下落に歯止めをかけた米国市場だが、底入れするというよりは、色々な経済指標から足元の景気を確認する相場が続きそうな気がしている。
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