あたたかい南の風が吹き荒れる一日(風を「あたたかい」という時、「暖かい」という漢字を使うか「温かい」という漢字を使うかは悩ましいところ。なので、平仮名のままにしてみました)。
吹き荒れる風をガラス窓の外に眺めながら、ひがないちにち森見登美彦さんのオムニバス短編(中編?)集『きつねのはなし』(新潮社)を読む。
昔はちょっと無理をしているような感もなくはなかったやや古めかしくも軽やかな文体も、今はすっかり板について文章を読む喜びを与えてくれる。京都の大学生が出てくるのも、凛としてしかも艶っぽい女性が出てくるのも、いつもどおりの森見節。素晴らしい。特に表題作は絶品。