カニ山の林の中でオレンジ色の花の群落を見かけました。ノカンゾウでしょうか。
すでに盛りを過ぎているようで、花びらがかなり落ちています。
すでに盛りを過ぎているようで、花びらがかなり落ちています。
カンゾウの仲間の和名は「忘れ草」。この花を眺めたり、身につけたりすると、憂いを忘れるという言い伝えがあるのだそうです。
万葉集、大伴家持の歌に――
- 忘れ草我が下紐に付けたれど醜(しこ)の醜草(しこくさ)言にしありけり
ものを忘れるおまじないとして、下着の紐にこの花を結びつける風習があったようで、家持は「忘れ草を下着の紐につけたけれど、ひどい、ひどい草じゃないか。よくぞ言ったもんだ」と、忘れる効能がなかったことをののしっています。
女性に贈った歌なので、「あなたのことを忘れられませんでしたよ」と好意を示しているのですね。とばっちりにあった忘れ草が可哀想。
ずっと昔から山野に咲いていた花かと思うと、ことさらに風情を覚えます。あたりではしきりにヒグラシが鳴いていました。