昨日は午後5時半より、紀尾井町の情勢国際大学地下ホールにて「日本SF作家クラブ:国際SFシンポジウム・キックオフ――日本・SF・翻訳:『幻詩狩り』英訳を記念して」という長いタイトルの講演/パネルディスカッション。その後、筋向いのルポール麹町にてレセプションパーティー。
川又千秋さんが1984年に中央公論社Cノベルズで発表、2007年に創元SF文庫から再刊された『幻詩狩り』が、このたびマッギル大学教授トマス・ラマール氏とテキサス工科大学のカズコ・Y・ベァレンズ氏によって英訳され、ミネソタ大学出版局から刊行されました。それを記念し、訳者のラマールさんをお迎えしてのシンポジウム。来年、創設50周年を迎える日本SF作家クラブの記念行事のひとつです。
講演で、ラマールさんは『幻詩狩り』を「渦巻」のイメージによって、いつくもの側面から分析。パネルディスカッションでは、荒巻義雄さんがシュールレアリズム絵画を手がかりに、笠井潔さんがクラークの『2001年宇宙の旅』のモノリスを手がかりに、それぞれ『幻詩狩り』の意味を読み解きました。
これらを受けて川又さんは「これから言うのは嘘ですから」と前置きして、自ら『幻詩狩り』のテーマ(「誤訳」と「誤解」が鍵なんだそうです)について述べられました。
写真は上が城西国際大学ホールでのシンポジウム。壇上左から(左奥の人は裏方さん)、笠井潔さん、荒巻義雄さん、川又千秋さん、トマス・ラマールさん、司会の巽孝之さん。
写真下は、レセプションで挨拶をする川又さん。
レセプションの司会は小松左京事務所イオの乙部順子さん。色々な人を壇上に上げて喋らせ(私もその1人)、会場入り口で販売しているグッズの宣伝につとめ、大活躍でした。
川又さんは秘境冒険ものから戦記シミュレーション、本格SFなど、さまざまな作品を発表していますが、代表作はやはり『幻詩狩り』かなあ。言葉遣いの巧みさが存分に発揮された傑作で、ぜひとも世界中の人に読んでもらいたいものです。