惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

怪作

2016-09-17 20:43:19 | 本と雑誌

 夕方、庭仕事を少し。

 もう実をつけなくなったトマト、枯れてしまったスイカの蔓、同じく立ち枯れたヒマワリなどを片付けました。
 根元から切って、15センチぐらいに裁断。あとは、後日、シュレッダーで粉砕します。

 やや遅ればせながら読んでいる、故・米沢嘉博さんの労作『戦後怪奇マンガ史』(鉄人社)が素晴らしい。対象への、著者の愛と熱気がひしひしと伝わってくるのです。
 長くなりますが、原やすみ『奇形兒』(曙出版、1966)を紹介した部分を引用してみます――

 ……タイトルもすごいが、内容は意味不明にしてグロテスクでメチャクチャだ。
 ストーリーはこうだ。赤ん坊の生まれるのを心待ちにしている少女は、ある日、腕が短くなっていく奇病に取りつかれる。やがて、少女は手足の短いイモ虫のような姿になってしまい、半ば精神退行となって、手足を求めて夜の町をはいずり廻るようになる。その頃、生まれた待望の赤ん坊は、クモのように長い手足を持つ怪物として生をうけていた。
「ねえちゃん、腕かえす、足かえす」と言いながら、街をうろつくクモのような赤ん坊とイモ虫のような少女。母は、病院を逃げ出し、赤ん坊の両手両足を斬りとって少女の体につけ、三人共々無理心中をしてしまう。

 猛烈に読みたくなりますよねえ。
 ほとんどの人が読み捨てた作品に、こんなスポットライトを浴びせることができるなんて、普通の者にはできません。
 偉大な人だったなあ。