惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

「小松左京アート展」/「生頼範義展」

2018-01-26 21:42:35 | アート・文化

 午後、凍てつく空気の中を都心へ出る。

 まず、銀座2-2-18(交通会館向かい)スパンアートギャラリーで開催中の「小松左京アート展」

 小松さんの若い頃のスケッチ(落書き?)や、作品メモと、とり・みき、加藤直之さんら20人あまりによる、小松左京作品をテーマにした絵画や立体作品の展示。
 目玉は、先年アメリカで発見された小松實名義のマンガ「スケレトン博士」の全ページをカラーコピーで見られることでしょう。地球滅亡をたくらむスケレトン博士を少年探偵が追いつめます。スケレトン博士の切り札が、人工地震で日本を沈没させるというアイデアであることに驚きました。明後日、28日(日曜)まで。

 その後、上野公園にある上野の森美術館で「生頼範義展」
 画家でイラストレーターだった生頼さんの画業をたどる大規模な回顧展。

 写真は、展示場に入るとまず対面する、生頼作品を表紙にした本の塔。

 圧倒されました。
 正直なところをいえば、本の表紙絵中心の仕事だったのだから、画稿はそれほどでもないのではないかと考えていたのです。とんでもない過ち。こちらの思い込みは木っ端みじんにうち砕かれてしまいました。
 表紙絵やイラスト、ポスターにこれほどまでに打ち込む人がいたのだ!

 下絵とか、印刷用の材料とかいった中途半端なものはひとつもありません。すべてが入魂の絵画作品ばかり。しかも、出来栄えがただごとではないのです。
 構図、描写力、色、どれをとっても凄い迫力。人物像は、当人を目にしたよりも、ずっとその人の真実や運命といったものをとらえています。画面からほとばしる生命力は、見ている者のそれを凌駕するほど。劇的な絵に使われた絵の具には、血と闇が溶かし込まれているのではないかと感じました。

 画業の柱は、小松左京作品、平井和正作品、それに〈SFアドベンチャー〉誌の表紙絵――この3つだと思います。生頼さんがSFを手がけてくださったことが、なんだか奇跡のようです。2月4日(日曜)まで。

 明日(土曜)は、午後2時から笹塚区民会館で「SFファン交流会」に出席。
 牧眞司さん、鈴木力さんと昨年の国内SFについて論じます。お時間がございましたら、ぜひ。