古い雑誌を片付けながら、昨年、〈オール読物〉誌に連載された「梶芽衣子自伝」を拾い読みしました。
梶芽衣子さんは、私が日本映画の魅力に目覚めた頃、よく見た女優の一人。本名・太田雅子で出演していた映画も見ているはずですが、記憶にあるのは改名してから主演した『野良猫ロック』シリーズ以降。1970年、日活がいったん終焉し、ロマンポルノの製作を開始する直前の名作です。
そして、その後、東映に移って撮った『女囚さそり』シリーズ(1972~73年)。深作欣二作品では『仁義なき戦い 広島死闘篇』(1973年)。
このあたりは大学生の頃、2番館、3番館で追いかけました。
サラリーマンになってから見た深作作品『やくざの墓場 くちなしの花』も、強烈な印象が残っています。
連載からは梶さんのまっすぐで頑固な性格が伝わってきます。
『野良猫ロック』の主役に長谷部安春監督が彼女を起用した時の話が面白い――
- ……なぜ私を使ったのかを聞いたことがあります。そうしたら「笑顔がまったくないから」という答えが返ってきました。「撮影所を歩いていても食堂にいてもいつも目が吊り上がっている。それで選んだ」っていうんです。
日活撮影所での、彼女の姿勢がよくわかります。人生のモットーが「媚びない、めげない、くじけない」という人ですからねえ。
テレビドラマでもずいぶん活躍なさってますが、残念ながら、まったく見ていません。いつか見ることができるかしらん。