仕事が一段落したので、今日はちょっとのんびりして、雑誌の整理を少し。
不要の雑誌を捨てる前に、目を通しておきたい記事をチェックしたり、新着雑誌に目を通したり。
そんな中で面白かったのは、〈日経サイエンス〉3月号の最新ニュース欄にあった「宇宙からのマルチメッセージ」という記事。
昨夏の中性子星合体を、重力波、ガンマ線、可視光、電波など、さまざまな側面から観測したことが、天文学の新時代を開いたという内容です。
このような観測によって、宇宙の実態がさらに詳しく判明すると期待される一方、データの洪水と格闘する必要も出てくるといいます。データ処理の手段にも、新しい装置を開発して欲しいものです。量子コンピューターとか。
特に面白かったのは、この「マルチメッセージ天文学」においては、光の検出は「見る」、重力波の検出は「聞く」、ニュートリノの検出は「味わう」ことに相当すると、人間の五感に喩えているところ。
宇宙を見て、聞いて、味わうことが出来るようになったとは。もし小松左京さんがこのことを知ったら、ウヒャウヒャいって喜ぶでしょうね。
宇宙へ飛び出してゆく人工実存にこうした機能を装備するかもしれない。さらに、「嗅ぐ」「触れる」「交わる」といった機能さえも。
そういえば、昨日のSFファン交流会で、最近は(日本では特に)宇宙SFが少ないことが話題に上がりましたが、小松さんやグレゴリイ・ベンフォード(存命中)だったら、最近の天文学の成果をどう生かすか、考えてみるのも楽しそうです。
〈小説推理〉3月号が発売になりました。担当しているSFレビューで次の4作を取り上げています――
- 伊藤瑞彦 『赤いオーロラの街で』 (ハヤカワ文庫JA)
- 眉村卓 『夕焼のかなた』 (双葉文庫)
- グレッグ・イーガン 『シルトの梯子』 (山岸真訳、ハヤカワ文庫SF)
- ロジャー・ゼラズニイ 『虚ろなる十月の夜に』 (森瀬繚訳、竹書房文庫)
『赤いオーロラの街で』は第5回ハヤカワSFコンテスト最終候補作。これで同コンテストからは大賞受賞の『コルヌトピア』『構造素子』に続いて3作が刊行されたことになります。成果か大きかったですねえ。