夕食はメンチカツ。
大好きなので、しあわせ満喫しました。
ただ、私の脳裏には「幻のメンチカツ」というのがあって、たぶん、いつかそれを口にしたいという果てしない夢にとらわれている気がします。
「幻の――」といっても、あり得ない味ではなく、かつて、一度、口にしたあのメンチカツにもう一度、巡り会うことはできないのかという願望。あれは、本当に美味しかった。
大学に通っていた頃のことです。たぶん早く授業が終わって安アパートに帰る途中、あまりにお腹が空いたので初めての食堂に入ったのでした。
記憶では人形町の水天宮近くの店。
人形町には有名な洋食屋さんがありますが、そんな店ではなく、ごく普通の定食屋さんのようなところ。
メニューを見て、値段の高くないものをと考えて、メンチカツ定食を頼んだのですが、しばらくして出てきた揚げたてのカツを口にした時には、驚きました。凄く美味しかった。
それまでもメンチカツは食べたことがあったし、トンカツとかコロッケとか、洋食の揚げ物は色々、知っていました。
そのどれよりも美味しかった。世の中にこんなに美味しい料理があるのかと思いました。
以来、私の中ではメンチカツが特別なものとして君臨しています。
あの味に、いつかどこかで巡り会うことがあるのか。それとも、自分で研究して、きわめるべきか。ずっと思案しています。
「ベストSF2017」、2人目の投票をいただきました。下村思游さん、ありがとうございます。
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