惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

キャタピラーD7

2006-04-11 20:57:47 | 本と雑誌

 中村融編『SF映画原作傑作選 地球の静止する日』(創元SF文庫)は「古き良きSF」の宝庫という感じで楽しい。

 なかでもシオドア・スタージョンの「殺人ブルドーザー」が初めて日本語で読めるのがうれしい。
 この作品については、スタージョン自身が「私はもうブルドーザーが意識を持って人間を殺す話など書かない」とコメントしたことが有名。本人がそういうのなら、他愛ないモンスターSFなのかと思っていたのですが、読んでみると大違い。ブルドーザーを操ったことがあるという経歴を存分に生かしたアクションサスペンスSFの傑作。南海の孤島で、とある理由から生命を得たブルドーザーとあらくれ作業員たちが死闘を繰り広げるさまは、それこそ手に汗握るという表現がぴったりです。幻惑的な美文で知られるスタージョンが、ここでは鋼鉄のモンスターの不気味で力強い動きを躍動的に描き出している。

 問題は読む当方がブルドーザーの構造や操縦法などをよく知らないこと。「履帯」といわれても、にわかにはピンときません(履帯=クローラー=無限軌道のこと)。
 そこで「主役」を張っているキャタピラー社のD7ブルドーザーの外観などがわかるウェブサイトを探してみました。
 あまりきちんとした検索ではありませんが、どうやらデンマーク軍の車両を紹介したこのページあたりがいちばんわかりやすいようです。
 ここの写真を見て、下部ローラーと上部ローラーとはどんなものか、どこから熱湯が吹き出すのか、などと考えながら読むと楽しさは倍増。エスねこさんが教えてくださったウォード・ムーアの「ロト」など、他の作品もいいですよ。


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4 コメント

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アメリカに留学していたとき、サンクスギビングデ... (山口 素夫)
2006-04-12 13:38:21
アメリカに留学していたとき、サンクスギビングデイにホームステイしたイリノイ州の家の近くにキャタピラー社があったので、工場見学をしたことがあります。20年以上前なのでほとんど覚えていませんが、巨大なブルドーザーが展示してあったような気がします・・・(関係ない話ですが、この家のアメリカ人家族は日本に滞在した経験があり、私の実家の近くに住んでいたそうです。It's a small worldです)
「地球の静止する日」は買ったけどまだ読んでいません。早速読んでみます。
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 キャタピラー社のDシリーズはその後もたくさん... (森下一仁)
2006-04-12 21:33:55
 キャタピラー社のDシリーズはその後もたくさん造られているようです。10以降もあるのでしょうか?
 大きなはたらくクルマは良い子の憧れの的です。恐竜みたいなところがありますね。
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『キャタピラー』という名称は、全世界的に意匠登... (羅門祐人)
2006-04-12 21:46:20
『キャタピラー』という名称は、全世界的に意匠登録されているため、小説などで書くには許可をもらわなければなりません。その点、この作品はどうクリアしてるんでしょう? 架空戦記なんかの場合、戦車のキャタピラと書くとアウトなので、無限軌道とか一般名称に直さなければならず、けっこう面倒です。戦時中の日本軍だって、しっかりキャタピラと言ってたのに……。
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へえ、そうなんですか。 (森下一仁)
2006-04-13 19:44:27
へえ、そうなんですか。
 訳文には「キャタピラ社のマシン」、「Dセブン」と出てきます。無限軌道を指すのではなく、製品名として登場させるのなら大丈夫なんでしょうか?
 機会があれば訊いてみます。
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