ついにライブドア社長らが逮捕されましたか。
今だからいうというわけではないのですが、もともと私はこの会社のあり方を胡散臭く思っていました。こんなやり方をする人たちには近づきたくないものだ、と。
しかし、法に触れることになるとまでは考えていなかった。事件にしたということは、彼らのやり方は日本の資本主義の倫理を危うくすると、検察が判断したからなのでしょうね。犯罪として立件するか否かは、検察の裁量にかかっている部分が大いにあると思います。
考えてみれば、これはこれで恐ろしいものがあるのですが……。
マーティン・バナールの話題の書『黒いアテナ〈上・下〉』(金井和子訳、藤原書店)をようやく読了。
ややこしくて、しんどかった。でも、それを上まわる面白さがありました。
なんといっても常識をひっくり返そうとする試みですからねえ。ヨーロッパ文明の源であるギリシア文明はエジプトの植民地としてスタートしたという主張は、ヨーロッハの東端であるとはいえ、ギリシアはヨーロッパの内部であり、ヨーロッパ人によって独自に発達したヨーロッパ固有の文明なのだというヨーロッパ人の「誇り」を打ち砕いてしまう。
バナールの主張がどこまで妥当なものなのか、私には判断しかねますが、この本によっていくつもの疑問が解けるような気がするのも確か。
たとえば、『魔術師大全』を書いた時、ピュタゴラスやアポロニウスなど古代の哲人が必ずエジプト詣でをするのはなぜかと思っていたのですが、奈良・平安時代の遣隋使・遣唐使のようなものだったと考えればストンと納得できます。
あるいは、ローマ時代、イシス神信仰が一般的だったのも、辺境から流入したもの珍しい宗教だったからというより、彼らの文明のおおもとを尊重したからだと思えば、これまた納得。
これからも何かあるたびに、あちこち開いて読み直すことになると思います。