昨夜――というか、今朝は、少なくとも3度、夢を見ていることに気づきました。
最初に気づいた夢の内容は忘れてしまいましたが、2度目のは編集者を交えた知人たちでマージャンをしているというもの。そんな経験はまったくありませんし、今ではマージャンをしたいという気持ちもないのですが。
3度目の夢では、お相撲さんたちが浴衣姿でわいわいやっていました。何かを売ったり、笑顔で話をしたり。筒井康隆さんの「走る取的」のような悪夢ではありませんでした。
昨日ふれたアンドレア・ロック『脳は眠らない』では、夢は人間の感情を処理する機能を(それだけではないが)担っていることが強く示唆されている。夢を見ている時、感情記憶の中枢である大脳辺縁系が、起きている時以上に活性化され、逆に論理的思考をつかさどる前頭葉皮質はほとんど働いていないという。論理ではなく、感情が夢を衝き動かしているといっていいらしい。
そしてネガティブな感情は、夢に織り込まれることによって軽減され、心の平静が取り戻される。夢でシミュレーションすることで、ダメージの乗り越え方を発見するといっていいのかもしれない。
ただ、この本を読んで気になったのは、こうした夢の機能がうつ病の人では損なわれている可能性があるという点。ロザリンド・カートライトという研究者によれば、ショックから立ち直れる人と、うつ状態から抜け出せない人では、夢のパターンが明らかに異なるという。
「うつ病の人は……レム睡眠中にも、記憶の中からネガティブなイメージばかり引きだすのでしょう。そのために不安や恐怖がいっそう強まるんです」
このことを逆手にとって、夢を見させないのがいいかもしれない、ともいう。
「うつ病患者の夢はネガティブな方向にエスカレートしがちですが、レム睡眠を中断すれば、そうした夢の悪循環を断てる。薬や心理療法なしに症状を改善できるかもしれません」
本当に可能かどうか、私にはまったくわかりませんが、自分で夢をコントロールできれば何かが変わりそうな気はします。