南欧の国債危機のため、欧州の銀行のドルを調達するコストが急上昇している。いわゆる通貨ベーシススワップによりドルを調達するコストは、ニューヨークタイムズによると、今年7月下旬は28bpだったが、直近では112bpまで上昇している。これはユーロプレミアムである。ユーロプレミアムはリーマンショック後2%まで跳ね上がっていたが、その後0.5%程度に低下し、夏前は更に下っていた。
しかしギリシアのデフォルト危機が高まり、ギリシア等南欧の国債を大量に抱えるフランスの銀行に対する投資家の懸念が高まる中、ドル資金の出し手である米国のマネーマーケットファンドが、既存貸出のロールオーバーを渋り始めたことが原因だ。
この話を聞くと90年代後半に、ジャパンプレミアム問題に苦労し、外貨資産の圧縮に腐心していた頃を思い出す。
欧州の銀行は短期の市場資金への依存度が高いので、信用不安が起きた時、資金繰りが急速にきつくなる。13,4年前のことを思い起こすと、個人顧客の預金に依存していた日本の銀行も株価が低迷すると預金流出に悩んだものである。逃げ足の速い外国の機関投資家の資金に依存していると資金繰りは本当に大変だろうと思う。
日本の銀行の収益力が改善したとも、ポートフォリオが良くなったとも思わないが、運用難から潤沢な資金が銀行にあり、少なくとも今のところ平静を保っていることは有難い話だ。
だが何らかの理由で日本の国債価格が暴落し、銀行のバランスシートを痛める時が来ると想像すると空恐ろしくなる。歴史が繰り返さないという保証はどこにもない。