金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

昔ジャパンプレミアム、今ユーロプレミアム

2011年09月14日 | 金融

南欧の国債危機のため、欧州の銀行のドルを調達するコストが急上昇している。いわゆる通貨ベーシススワップによりドルを調達するコストは、ニューヨークタイムズによると、今年7月下旬は28bpだったが、直近では112bpまで上昇している。これはユーロプレミアムである。ユーロプレミアムはリーマンショック後2%まで跳ね上がっていたが、その後0.5%程度に低下し、夏前は更に下っていた。

しかしギリシアのデフォルト危機が高まり、ギリシア等南欧の国債を大量に抱えるフランスの銀行に対する投資家の懸念が高まる中、ドル資金の出し手である米国のマネーマーケットファンドが、既存貸出のロールオーバーを渋り始めたことが原因だ。

この話を聞くと90年代後半に、ジャパンプレミアム問題に苦労し、外貨資産の圧縮に腐心していた頃を思い出す。

欧州の銀行は短期の市場資金への依存度が高いので、信用不安が起きた時、資金繰りが急速にきつくなる。13,4年前のことを思い起こすと、個人顧客の預金に依存していた日本の銀行も株価が低迷すると預金流出に悩んだものである。逃げ足の速い外国の機関投資家の資金に依存していると資金繰りは本当に大変だろうと思う。

日本の銀行の収益力が改善したとも、ポートフォリオが良くなったとも思わないが、運用難から潤沢な資金が銀行にあり、少なくとも今のところ平静を保っていることは有難い話だ。

だが何らかの理由で日本の国債価格が暴落し、銀行のバランスシートを痛める時が来ると想像すると空恐ろしくなる。歴史が繰り返さないという保証はどこにもない。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

詩仙堂界隈、B級グルメ的スポット

2011年09月14日 | 旅行記

今回の京都の旅の最後は詩仙堂界隈とした。詩仙堂は私が育った岩倉に近い一乗寺下り松にある。しかしこれまで行ったことがなかった。「何時でも行ける」と思いながら、行きそびれていたところの一つである。

市内から5系統の市バスに乗り、一乗寺下り松で下車。坂道を登っていくと宮本武蔵の決闘で有名な下り松に出会う。

詩仙堂は江戸時代の文人石川丈山が作った庵。堂内に中国の詩人の肖像画を飾ったことから詩仙堂の名前がついた。

Shisendo

石川丈山は武家の出身。徳川家の家臣であった。一説には徳川幕府の指示を受け詩仙堂のニ階の窓から京都市中を見張っていたと言われる。高い建物がなかった江戸時代であれば、ここから御所や市中の動きを十分観察できただろう。

Shisendoentrance

小さな庭だが細かい砂の上に箒の目が立ち清々しい。桔梗の花が秋の近づきを教えてくれた。

Kikyou

とはいうもののもの凄く暑い日である。詩仙堂を出て少し坂を登ると八大神社に至る。ここは宮本武蔵が一乗寺の決闘の前に武運を祈ろうと思ったが、その神頼みの気持ちではいけないと考え直し「神仏を尊んで神仏を頼まず」と言ったところだ。

Sagarimatu

神社を出て坂道を下って行くと「金福寺(こんぷくじ)」という小ぶりなお寺がある。ここには蕪村の墓、芭蕉庵があり、また村山たか女が余生を送ったことでも知られている。村山たか女は、井伊直弼の侍女で深い関係があったと言われている。

Buson

蕪村の墓の近くに門下の大魯という人の墓があり「春がきた梅じゃ芝居じゃうかれ人」の句を書いた立て札があった。

今回は行かなかったが、詩仙堂の近くには曼殊院門跡という名刹がある。これはA級グルメ的はお寺だ。紅葉や雪の季節の庭は素晴らしい。だが金福寺のようなB級グルメ的なお寺を巡り、先人の足跡に触れてみるのも面白い。一乗寺下り松界隈にはそのようなスポットが幾つかある。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする