金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

「経済に良いニュースは相場に悪く」S&P500調整局面入り

2023年10月28日 | 投資
 昨日日本相続学会の研究大会で「資産寿命を延ばす」という話をしたところ、話のあとで親しくしている弁護士さんが押っ取り刀でやってきて「役に立つ話をありがとうございました。早速ですが具体的にはどんな銘柄を買えばよいでしょうか?」と聞いてきました。
 「まあ、銘柄の話はちょっと横において相場の状況を考えてみましょう。今は米国株が調整局面に入るところでもう少し下落する可能性が高そうですね」と私。
 今朝WSJを見るとS&P500 enters correctionという記事が出ていました。
 S&P500は今年7月末につけた高値から10%以上下落したので、調整局面入りしたと判断された訳です。
 このところ米国株は下落基調が続いています。その最大の理由は長期金利が上昇していることです。今週月曜日に10年国債の利回りはこの16年間で初めて5%を越えました。国債利回りが5%まで上昇していると、投資家の中にはリスクのある株式投資から確定した利回りを得られる国債の購入に切り替えようという動きが出てきても不思議はありません。
 長期金利が上昇する背景は、アメリカの景気が底堅いことにあります。商務省が今週発表した第三四半期のGDPは前期比4.9%と2年ぶりの高い伸びとなっています。
 本来であれば、景気が良いということは株価にとってプラス材料のはずです。しかし現在は景気が良い→長期金利が上昇する→連銀がインフレ抑制のため政策金利の引き上げを行う可能性がある、という連想を生み株が売られています。
 ただし景気が良いということは、長期的にはプラスの材料です。日本はGDPがドイツに抜かれてGDPが世界4位に転落する見込みというニュースを最近目にしましたね。円安が原因という人もいますが、基本的には日本の経済が長期的な下落を続けていることが原因です。
 資産寿命を延ばすには、元気な国の資産を保有することがポイントなのですが、さすがにちょっとタイミングをみたい局面ですね。

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