ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ教授がニューヨーク・タイムズにJapan is a Model,Not a Cautionary tale(日本はモデルで、失敗に関する訓話的な話ではない)という寄稿をしていた。簡単にいうと、「リーマンショックの後、米国は米国がバブル崩壊後の日本型の経済停滞に陥らないよう政府の動きを強めた。そういう意味では、日本の失われた20年は訓話的なのだが、よく見ると日本の低成長はそれほど悪いものではなかった。2000年から2011年にかけての日本の年平均経済成長率は、米国(1.8%)の半分以下の0.78%だった。だがその間に日本の労働人口(15歳~64歳)が5.5%減少しているので、一人当たりの産出量の伸びではアメリカを上回っている。また所得格差の拡大抑制の点でも日本はアメリカよりうまくいっている。平均寿命の点でもしかり。世界第二位の大学卒業率もしかり。最悪時点でも5.8%を超えなかった失業率の点でもしかり・・・・」と結構褒めている。そして最後に「仮にアベノミクスがその支持者が望む半分程度の成功にとどまったとしても、アメリカに教えてくれることは大きい」と結んでいる。
アメリカ人の一つの美点は、他人の長所を素直に認めそこから学ぼうとすることである。たとえばトヨタのカンバン方式を真剣に勉強したように。
ということでスティグリッツ教授もアメリカとの比較で日本の良いところを誉めているのかもしれない。しかし一面から見ると良いことも他の切り口から見ると悪い面を持っていることがある。規制の多い労働法や雇用環境により確かに日本の失業率は米国に較べると低く抑えられている。だがそれが大胆な産業再編の足かせになっているマイナス面もある。
無論その程度のことをスティグリッツ教授が知らぬはずがない。では何故この時期にアベノミクスを進めようとする日本にエールを送ったのか?目先の株価のブレに一喜一憂することなく、アベノミクスを推進せよ、という励ましの言葉なのだろうか?
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます