円安ドル高が急速に進んでいる。昨日(4月7日)は一時107円台半ばまで円は上昇した。現在は108円台半ばまで値を戻しているが。
現在の状況はドルが主要通貨に対して値を下げているので、円高いうよりはドル安というべきだろう。
この急速なドル安の背景に「2月の上海サミットでドル安が緩やかに合意された可能性がある」という見方を取るアナリストいる。
昨日WSJに掲載されたAS Dollar falls, world perks up(ドルが下落して世界は元気を取り戻す)という記事では「上海合意は神話だ」と述べている。サミットに参加した20ケ国は為替操作を非難しているからだ。
しかし今年の1,2月の米国株の暴落や中国経済の低迷の背景に昨年の急速なドル高があったことは事実で、その後のドル安・原油価格の戻りなどで米国株は息を吹き返している。
人民元は米ドルにリンクしているので、ドル高は人民元高に繋がり中国の輸出競争力を弱める。人民銀行が元の切り下げに動くと大量の資金が中国から流出し、世界の金融市場に不安をもたらすから中国もまたドル高の持続を望まないと考えるべきだろう。
ドル安密約はなかったにしろ、原油価格の急落・日欧の中央銀行の金融緩和策が大きな原因となっているドル高に米国と中国他新興国が懸念を示したことは間違いない。
また経済成長のために、金融政策頼りではなく、財政政策と構造改革の必要性が強調された。安倍内閣は「同一労働・同一賃金」政策を掲げ労働市場の改革に取り組もうとしているが、これは伊勢志摩サミットの時に何らかの「具体的成果」を参加国に示したいと考えているからだろう。
急速な円高は日本の輸出企業や外国株・債券に投資している投資家には頭の痛い話だ。しかしドル高で世界的な景気後退や金融危機に陥るよりはまだましなのかもしれない。
もし仮に「上海密約」あるいはそこまでいかなくてもドル安容認が暗黙の合意となっているとすれば~あるいはそのように信じる投機家がいるとすれば~日本政府高官の口先介入は見透かされている可能性があるだろう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます