「金融の専門家は目前の選挙の結果より、公的債務の拡大を一番懸念している」というと日本の話か?と思う人がいるかもしれないが、これはCNBCに載っていたアメリカの話だ。
大統領選挙日は11月5日火曜日なので、投票日まで後2週間となった。
異例の接戦が続くというのが一般的な見方だが、アメリカの新聞では、トランプ前大統領が話題になっていることが多い。投資家の間では、ハリス副大統領の選挙戦スタート時の勢いは衰えて、トランプが勝利するのでは?という見方がでているようだ。
もっとも大統領選挙でどちらが勝っても、長期的には株価のパフォーマンスにさほど影響は与えないという冷静な見方する人が多いようだ。
これは日本の総選挙についてもいえるのではないか?
さてAs nervous investors worry about the presidential election, public debt is a top concern financial advisors sayというCNBCの記事によると、Natixis Investment Managersが米国の300人を含む世界20カ国の金融アドバイザー2,700人に調査を行ったところ、公的債務を最大の経済リスクにあげた人が一番多かった。
ちなみに公的債務を経済リスクのトップにあげた人は64%で、世界的な紛争が62%、持続的なインフレが61%、米国と中国の関係が61%、高金利の長期化が56%、株価バリュエーションが52%、ハイテクバブルが50%、中国経済が47%、企業の高い債務比率が44%と続いている。
気候変動を一番のリスクにあげた人は38%だった。
日本の衆院選の候補者の公約を見ると与野党とも「財政健全化より財政発動による生活防衛や景気拡大」を掲げている人が多いから、どの政党が勝っても、当面は公的債務は拡大するだろう。
ところで公的債務が増えるということは、元利金の支払いのために、将来の税金が増えるということを意味する。誰が税金を払うのかは別にして、誰かが税金を払わないと国は破綻してしまう。あるいは税収が増えないのであれば、支払社会保険料など国に支出を減らすことにならざるを得ない。
今の日本の候補者はそんなことをいわず、目先は税金を使って景気を良くしましょうと声を張り上げている。
だが少し冷静な選挙民は、いずれそのツケが国民に回ってくることを知っている。増税か?社会保険料負担の引き上げか?あるいは公的年金の削減か?健康保険の給付削減か?あるいはそれらの組み合わせか?
こんな中個人のリスク資産投資が増えている。日銀が発表している資金循環統計によると、過去1年で株式投資残高は15%強、投資信託は27%増えている。
NISAの拡充と相場付きが良かったことが主な要因だ。
だが好調な相場は永遠に続くものではない。
ゴールドマン・ザックスは、最近「今後10年間の市場インデックスの名目的なトータルリターンは3%に過ぎない。これまでの10年間のリターンは13%で、長期的なリターンは11%だったが」と予想している。
ゴールドマンの弱気の予想は、これまでの株高がNVIDIAなど一握りの銘柄により起きたもので、それらの株高はバリエーションの高さから来ているというものだ。
平たく言うと、人工知能銘柄への過剰期待が生み出した株高といえる。
ゴールドマンの予想は、悲観的過ぎるかもしれないが、今年のようにS&P500の年初来のパフォーマンスが23%という高いパフォーマンスが持続しないことは確実だ。山高ければ谷深しである。
公的債務の負担拡大と株式相場の低パフォーマンスと異常気象に伴う風水害リスク。私が今後の日本のリスクをあげるとすればこのようなところだろうか?
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