エコノミスト誌に「外国企業は中々中国に入り込めない」という主旨の記事が出ていた。題名はImpenetrable(「入り込めない」という意味だが、不可解という意味もある)。記事から2,3の例を紹介すると、薬品大手のファイザー、アストラゼネカ、バイエルの中国での売上は全世界の売上の2%にも満たないと調査会社IMSは推計している。又米国の保険会社AIGは競争相手を押さえて、中国への参入に成功したが、営業範囲は8つの都市に限られている。アナリストは人口では中国の2%以下の台湾より売上が少ないと推定している。
もっとも中国で売れるものはある。それは高級品、光ファイバー、大型飛行機などのハイエンド商品と石油、鉄鉱石、くず鉄などの再利用可能産業廃棄物という原材料だ。しかし中間の普通の商品を中国で売ることは極めて難しい。
エコノミスト誌は中国で商売をすることの難しさについて、役所の許認可手続きの複雑さや恣意性、知的財産権保護の欠如、政府による広告料の統制(広告料が高い)など具体例で説明しているが、細かいことは省略する。
面白いと感じたことは調査会社のニールセンによると「中国人は外国ブランドは高級で高いものだ~実際はそうでなくても~と信じている」ことだ。このことはある種の商品の販売については「価格競争よりも質の競争が成り立つ」ことを示唆している。実際アップル、ゼネラル・モーター、リーバイ・ストラウスなどはどこよりも高い価格で中国である種の製品を販売している。
「高いものが売れる」ということは少し前までの日本でもあったことだ。どこが良いのか分からないやたらと高い舶来品が舶来品というだけで売れた時代。もっとも舶来品が無条件に高級品だった時代ははるか昔に終わっていたが。
「中国で高いものが売れる」ということはある種の日本企業にはプラス材料だ。実際高級食材などは中国で良く売れている。
一本3百円程度で安いジーンズを輸出する一方で世界で一番高い代金を払ってリーバイスを買う国。中国の消費者が賢くなるにはもう少し時間がかかるだろう。今のところ中国市場は入り難いとともに理解も難しい市場である。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます