金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ヘッジファンドの言い訳

2012年02月26日 | 投資

先週金曜日頃から日本ではAIJ投資顧問による年金資金の不正運用問題が話題になっている。もっとも資金運用において何が不正で何が不正でないか?という点に明確な線引きができるかどうか?というと疑問が残らないではないが。

そういえば2月18日のエコノミスト誌にFrom alpha to smart betaという短い記事が出いた。資産運用業界で言葉の定義が変わっていることを揶揄したものだ。

記事はある失敗したファンドから投資家当てのレターの形である。

曰く:

投資家の皆様

我々は業界の動向に合わせて、マーケッティングとコミュニケーションに使う言葉を少し変えます。まず重要なことは「ヘッジファンド」から「代替的資産マネージャー」に名前を変えます。2008年に我々は如何にしてヘッジすれば良いか分からなかったからです。

我々はかって市場動向に左右されない「絶対リターン」を約束していましたが、これは不可能になりました。そこで「リスク調整後リターン」という言葉を使いましたが、それに失敗すると「相対リターン」という言葉を使いました。2011年のように市場のパフォーマンスに較べてはるかに見劣りするリターンしか挙げられなくなるとリターンそのものについて、お気づきでしょうが、話を止めてしまいました。

また投資家の皆様が支払う手数料の根拠である「アルファ」についても、コンセプトを変え「スマートベータ」を提供する方向に動いています。

でも我々は「2-20%」という報酬体系でスタイル・ドリフトを行うつもりはありません。

失敗したファンド会社より

投資の世界でアルファとは「個々の証券(個別株式銘柄等)が持つ価値」のことでベータとは「その証券や同じ属性の証券が持つ市場の動きに対する感応度」を指す。例えば「証券株は感応度が高い」という言い方をするがこれは証券株は「株式市況が良くなるときはそれよりも良くなり、悪くなるときは輪をかけて悪くなる」ことを意味している。

スマートベータという言葉は余り聞きなれない言葉だが、市況の変化を先取りして、値動きの荒い株を持つことでパフォーマンスを高めようという位のコンセプトか?ただしこれはリスクを増やしているに過ぎないが。

資産運用業者が運用成果について虚偽の報告をすることは無論重大な不正だ。だが運用スタイルを変えてみたり、約束したリスク以上のリスクを取ったりすることは不正にならないのか?という問題となるとグレーゾーンは大きいかもしれないと私は感じている。

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セゾン投信、様々

2012年02月24日 | 投資

このところの株高、円安(ドル高・ユーロ高)で、このブログの読者の方々の中にも随分ほっとされている方が多いと思う。という私もほっとしている一人であるが。一ヶ月近く入院していたことは何度もブログで書いているが、その間に個人ポートフォリオは大幅改善、β値の高い都銀株、証券株を中心にプラスに転じる銘柄も出てきた。

外モノではここ数ヶ月1割程度の含み損を抱えていた「セゾン投信」がついにプラスに転じ始めた。行動経済学のプロスペクト理論では「同じ金額でも損失を蒙る時の方が利益を得る場合よりも心の負担は大きい」と教える。この理論が正しいとすると、人は僅かな損失でも痛みを感じ、ロスカット等に動くということになる。

だがセゾン投信に関して言うと、私は超ドル高時期も超ユーロ安の時期もほとんど狼狽を感じなかった。その理由は幾つかある。一つは私は当該ファンドを毎月定額で購入しているので、円高時には購入口数が増え、簿価が自動的に下る~一種のドルコスト平均法~からだ。

次に過去に利益が出た時にある程度利食いをしている~一種のリバランス~ので、気持ちの上で余裕があるからだ。

また当該ファンド投資の目標利回り~漠然としたものではあるが~を、年4%程度においているので、余り無理をせずにタイミングを見て利食いを行なえるという点だ。

セゾン投信の中核は米ドル・ユーロという二大外貨と債券と株にパッシブ運用をするというもので運用コストの安さが売り物だ。

このパッシブ運用にある程度の「相場観」を交えてアクティブに運用する(主にリバランスという名目で利食いをする)のが、私の運用方法で目下のところ目標利回りを達成しているといえるだろう。

☆   ☆   ☆

資産運用に関する悪いニュースとしては「AIJ投資顧問なる運用会社が運用する約2千億円の年金資産の大部分が消滅していることが判明した」という記事が日経新聞に出ていた。AIJの名前の由来を資産管理専門の日本トラスティサービス信託の知人に聞いたところでは「社長の苗字+Investment+Japan」の略ではないでしょうか?という話だった。もっとも新聞記事によると「99.9%の確率でまともな運用はしていないはずだ」というから、Investmentはマユツバかもしれないが。

手持ちの情報では、AIJが年金基金にどの程度の利回りを提案していたかは不明だ。だがこの低金利環境の下でもし二桁の利回りを提案していたとするとかなりリスキーなものであることは間違いない。

私は先ほど4%を運用利回りの目安とすると述べたが、これにはある程度の根拠がある。一つは製薬会社や銀行大手、ドコモ等の配当利回りが4%前後だからだ。つまり4%程度の利回りであれば、それ程キャピタルロスのリスクを取らなくても達成できそうだということだ。だが仮に10%を超える配当利回りを目指すとなると東電(12%)などを保有することになり、キャピタルロスまで視野に入れざるを得なくなる。

この時期「欲を出しすぎない」ということが重要なようだ。とはいうものの、上がりだしたら上値を追いたくなるのも、投資家の心理。ドルは82円程度までは行くかな?と欲をかきながら週末を迎えることになりそうだ。

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年年歳歳花相似たり

2012年02月24日 | うんちく・小ネタ

今朝(2月24日)最寄の田無駅に近い民家の庭先に梅の花が満開だった。今年の冬は寒い日が続いたが、時期が来れば花が咲く。

「年々歳々花相似たり」である。退院して久しぶりに会社に向かう身には、ひときわ感慨が起きる。「年々歳々人同じからず」。

梅の年に較べると人の年は余りに短い・・・・・

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漸く再び退院、でも3週間では政治は変わりませんねぇ

2012年02月22日 | うんちく・小ネタ

今日(2月22日水曜日)漸く再び退院しました。「再び」というのは先週金曜日(17日)に再入院していたからです。再入院の原因は頭痛と異常な首・肩周りの強張りでした。「異常な痛さ」に髄膜炎などという恐ろしい病気(詳しくは知らない)の陰が頭の隅を過(よ)ぎったのですが、結果は大したことはありませんでした。結局内科の先生の「極度の水分不足による頭痛等の炎症」という見立てに収束しました。

比較的頭脳明晰で時間も豊富にあったものですから、テレビと新聞はよく見ていました。ネットについては、スマートフォンの充電ジャックが故障したため見ませんでしたが。

ニュースを見ていて特に感じたことは、日本を中心として「政治は3週間程度では変わらない!」ということです。

欧州ではギリシャ問題の具体的進展が遅い。押したり引いたりの駆け引きを続けながら、欧州中銀がヘアカットに応じるなど、大詰めに向けて進んでいることは進んでいる。市場のフラストレーションは相当高いと思うけれど、市場は「米国景気の回復」「日銀を含む中央銀行の金融緩和策」等を歓迎して「リスクオン」の状態が続いた。

「政治が変わらない」というと、日本の政治もまったく進展がありません(少なくとも表面上は)。「社会保障と税の一体改革」について国会討論が始まっています(暇なので時々国会中継を見ていました)が、恐ろしく枝葉末節な話か空理空論のような話が飛び交うばかりで、我が国の政治の行く末について暗澹たる気持ちにならざるを得ません。

内閣の支持率が急落する中、人気が高まっているのが大阪市の橋下市長です。彼の「船中八策」は「首相公選」「参院の廃止」などかなり劇的かつ手続き的な要素を含むものです。アナリストなどこの点を批判する人はいるのですが、私は橋下人気が高まっている理由に共感しています。それは何かというと、与野党対立の中で重要な政策課題が余りにも先送り・先送りの連続になっているからです。

社会保障等「長期的」な問題を解決するには、少子化に歯止めをかける必要があります。短期的には移民を増やすことも考えなくてはいけないでしょう。

だが今の日本では「新しいこと」「痛みを伴う可能性があること」はすっかりタブーになっています。今や大部分の国民が承知のことですが、GDP比の政府債務残高は先進国中最悪なのですが、「日本は経常黒字である」とか「日本の国債は大部分が国内で消化されている」などと理由にならない理由を付けて消費税引き上げに反対論を唱えている人がいます。

私はこれら消費税引き上げに反対する人に対し「じゃ数年先までの予算シュミレーションをしてください」といえば良いと思っています。もし「そんなことは分からん。俺の仕事じゃない」というような政治家がいれば即刻クビにするべきでしょう。

日本より財政状況が良いイタリアにおいてすら「政治家が閣僚に一人も含まれない」実務家内閣が誕生しています。

橋下市長は「自分は経済問題に(少なくとも今のところ)弱い」と言っていますから、彼が税と社会保障の一体改革を強力に推し進めるかどうか私には判断がつきません。

ただ橋下市長や改革の旗印を掲げる人は次の自明ことだけははっきりとさせて欲しいと思います。それは「タダ乗りのようなうまい話はどこにもない」ということです。この点について国民のコンセンサスを固めることがなければ、3週間経っても政治は変わらないでしょうね。とおもいました。

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新車で八王子まで走ってみました

2012年02月12日 | うんちく・小ネタ

人間一寸先は闇です。ヤミはヤミでも私の場合は「病み」の方が当てはまりそうですが。1月18日水曜日は朝から機嫌よくガーラ湯沢スキー場で滑っていたのですが、その翌週の火曜日からは高熱を出しウンウン唸っている状態でした。「あのガーラの元気は何だったのだろう?」と我ながら呆れました。でも聞くところによると、湯沢が今年晴れたのはこの日位とか?神様は余りの幸運はお喜びにならないのかもしれません。

Gala

さて一寸先は分からないというと、実は私は緊急入院の一週間程前にマイカーの買い替えを決めていたのです。新しい車はフォルクスワーゲンのゴルフです。何故ゴルフなのか?ということについては追々お話したいと思います(今自宅のパソコンを叩いていますが、入院中にキーボードの操作力が低下した?のかブログの作成に時間がかかるため)。

ごく簡単にいうと「エコ重視派だけど時には車に乗る」「車の運転は移動手段プラスαだ」という考え方にぴったり来たのがワーゲンのゴルフだったのだ。

Golf

先週土曜日ワイフが一人で受取ってきたゴルフ。私を病院から連れて帰ってくれたゴルフ。付き合いの始まりはパッとしないが、長く頼むよ、と今日はワイフを横に乗せて八王子の道の駅までドライブした。私のゴルフは1.4コンフォートラインという一番売れている筋のもので松竹梅でいうと竹である。だが「竹」で結構。踏み込むと素直に加速するエンジンと直進安定性は期待通りだったという気がした。

好き勝手なことを言ってすみません。明日からはちゃんとしたブログを書きます。

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