昨日の米国株は、全面的に下落し、ダウの連勝もストップした。
米国株は先週発表された5月のCPIが予想より低く、連銀の金利引き下げ見通しが高まったことから、ハイテク銘柄の売りと出遅れ銘柄への資金シフトで荒っぽい動きが続いていた。3つのインデックスの中ではダウだけが堅調だったが、そのダウも昨日は売られて533ポイント(1.3%)の下落となった。
株価のボラティリティが高まった背景には、トランプ前大統領の大統領選での勝利予想が高まっていることも影響しているかもしれない。
たとえば水曜日の台湾に関するトランプの発言が半導体セクターの重しになり、IT銘柄が大きく売り込まれた。
為替市場では、円高が急速に進み、為替ヘッジなしに米国株を買い進んでいる日本の個人投資家(私もそうだが)は、前月比の資産評価額の目減りが少し気になり始めたかもしれない。
だが米国の投資家の中では、金利引き下げ予想により、金利に敏感な小型株や出遅れ株が買われ、マーケットの裾野が広がるのは、健全な動きで、その中で利食いが出るのも当然のこと、という冷静な見方が一般的なようだ。
気になる経済ニュースは、今週の失業保険申請数が、先週の申請数やエコノミストの事前予想よりも高かったことだ。
私は誰が大統領になっても、長期的には米国経済や株式市場に与える影響はそれほど変わらないだろうというスタンスを取っているが、大統領選は短期的には相場のボラティリティを高めると考えている。
ニュースによると、これからトランプは反対勢力の反発を抑えるため、少しおとなしくなり、その分副大統領候補のバンス氏が過激が意見を展開するそうだ。
ここは相場の動きに一喜一憂せず、経済の基調を見ておきたいと思う。