新聞を読んでいて「ああ、そうだった」と懐かしく思いました。昨日の毎日新聞の投稿欄。
「弱者を救う遊び〈はいねこ〉」というタイトルで、三重県津市の久保さんという65歳の男性が書かれています。
昔、子どもたちが遊ぶ時、まだ小さくて1人前に扱えない子を、そこにいてもいいけど厳密にはルールを適用しない「超法規的存在」として参加させてやることがありました。そういう子を「はいねこ」と呼んだというのです。
私たちが小さい頃、幼児から小学校高学年まで、子どもだけの集団を作って遊んだものです。さすがにお姉さんの背中にしょわれているような子はいませんでしたが、近所の子はみんなが仲間。幼い子だからといって仲間はずれにするのは可哀相なので、こういうルールがあったんですね。
もっとも、私の田舎では「はいねこ」ではなく「おみそ」といっていました。「おみそ」は「みそっかす」、つまり半人前のこと。
当人にとってみれば、おみそでも一緒に遊べるのがうれしい。でも、1人前に扱われないのは悔しい。おみそでルールを覚え、早くきちんとした仲間として参加したいと思ったのではないでしょうか。
投稿された久保さんは、はいねこは「弱者を救う集団規範で、遊びから長幼の序を学び、ひきょうを戒める古きよき時代の習わしだった」と書かれています。
私たちは、ああいう遊びのルールから他人と付き合う方法を学び、社会的集団の一員として成長してきたのだなあと、改めて思います。そしてもはや次の世代には、同じやり方で優しさを譲り渡すことが出来なかったことに思い至り、愕然とするのです。
昭和30年代。時代とともに子ども社会も激変しました。