わたべ淳さんの体験マンガ(双葉社刊)。
舞台となっている「M大グラウンド跡発掘現場」は散歩コースの途中なので、このマンガは気になっていました。ほぼ1年前に出た本なのですが、つい最近になってつつじヶ丘の「書原」で見かけたので購入。あそこでこんなドラマが展開したいたのかと、なんだか不思議な感慨に打たれました。
「M大グラウンド跡発掘現場」は、正確には以前、日本航空のグラウンドがあった所で、明治大学が購入し、現在は付属中学・高校が建っています。この春、開校し、大型送迎バスで大勢の生徒が通って来ています。昔とはずいぶん風景が変わりました。
その風景が変わる途中、フェンスがめぐらされた中で校舎建設に先立って行なわれた遺跡調査にアルバイトとして参加したわたべさんが、そこで見聞きしたことをもとに描いたのがこのマンガ。
シャベルやクワなどを使っての野外での肉体作業はつらそうです。長く作業員をやっている、プロといっていいような人たちが主力となっていることを知り、ちょっと驚きました。太古の遺物発掘というロマンに憧れるボランティアたちがやっているのかと思っていたのです。
ここの現場での遺物は旧石器主体。途中、わたべさんは本郷の東大校内での発掘へ移動しますが、そこは江戸時代の遺跡。出土品に差はありますが、作業のしんどさは似たようなもの。いや、本郷の方がさらにきつかったように描かれていますね。
浮き沈みの激しい稼業の内実は深刻。この作品を期に、わたべさんが最ブレークされることを祈ってます。
33ページ。休憩時間に読んでいる文庫本が『マルドゥック・スクランブル』だったので微笑。頭の中で想像して描かれている登場人物の絵、とても良いと思いました。