9日にお亡くなりになったという。享年88。
なんといっても『だれも知らない小さな国』です。
この本に出会ったのは小学校5年の時だったでしょうか。出版されて1~2年経ってから、学校の図書館に入ったのだと思います。
読んだ時の気持ちを、今、思い出せば、「これはぼくのために書かれた物語だ」ということになるでしょうか。
山の中の三角形の空き地も、そこを流れる小川も、後に大きくなって再会する女の子も、みんな自分の親しいもののように思えました。我が家の裏山に入ってゆけば、本当にそんなことがあるのではないかと、夢想したものです。
ただね。小さな人たちだけは、別でした。これは想像の産物だとわかっていました。
でも、それ以外はとてもリアルな感覚があり、読んでいるとすごく幸せな気分になったのでした。中学生の頃までに、何度、読み返したことか。
後にシリーズ化されましたが、この1冊は特別。もう一人の自分の、真実の物語のように感じます。
この本に出会ったことで、自分がどういう人間であるのかを、客観的に考える手がかりを得たように思います。佐藤先生、本当にありがとうございました。