13日に亡くなられたとか。享年、93。
鈴木監督の映画を観てびっくりしたのは大学1年の時だったでしょうか。その作品は、小林旭主演『関東無宿』。
1963年製作なので、私が観たのはそれから7年ほど経ってからのことになります。劇場は、西新宿の成子坂映劇(?)という、いわば場末の3番館。その近くの安アパートから学校に通っていたのです。
夜の時間を持て余して、3本立て上映を観に行った時、たまたまかかっていました。
色使いが凄い。美術は木村威夫さん。『悪太郎』で鈴木監督と組んで2本目だったようですが、2人の相乗効果でケレン味あふれるシュールな世界が展開していました。
それ以来、鈴木監督の名前を頼りに追いかけるようになり、観た順番は忘れましたが、高橋英樹主演『刺青一代』、渡哲也主演『東京流れ者』、高橋英樹主演『けんかえれじい』……どれも、文句ない傑作。
ただ、日活を追われる原因となった宍戸錠主演『殺しの烙印』は、どうもピンと来なかった記憶があります。そして、『ツィゴイネルワイゼン』や『陽炎座』も。今ひとつ、緊張感に欠けていて、私にとっては、日活時代の作品に及ばないのです。
それはともかく、日本映画の監督としては並ぶものがないユニークな巨匠でありました。
どんな映画を観せてもらえるのか、あんなにワクワクさせてくれた人はいなかったなあ。ご冥福をお祈りします。