11月27日のウオール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、Japan Is Back: It Looks Real This Timeというタイトルで日本株に対する強気の見方を述べた。欧米機関投資家が日本株に強気なことは今に始まった訳ではないので、新しい話題ではないがアメリカの個人投資家まで日本株に強気になってくると息の長い相場が続くかもしれない。記事の内容を簡単に紹介しよう。
- 日本株は1989年に天井を付けてから、90年代に短期的なラリーはあったものの、日経平均で80㌫の価値を失っている。しかしここ3年は連続して上昇しており、今年については年初来29㌫上昇し、世界の先進国市場で最もパフォーマンスが良い。一部の市場観察者はまた日本市場に失望させらるのではないかという懸念を抱いているが、多くのアナリスト達は今回は違うと見ている。
- 例えばJ.P.モルガン・アセット・マネジメントの国際株式部門の責任者エメット氏は「我々は日本については5年から10年続くポジティブな市場の初期の段階にいると考える」と述べている。
- 日本株市場は多くの米国の投資家に影響を与える。日本株は米国株以外の国際株式の約4分の1を占める時価を持っているからだ。
- 小泉首相の総選挙における地滑り的勝利は、国民が更なる持続的な経済改革を受け入れる用意があることを示唆している。無論懸念材料はある。それは主要輸出市場である米国と中国の景気のスローダウンであり、税金の引き上げである。
- ところで米国における日本株投信は活発だったが、日本の投資家は日本株を買っていない。しかし日本の個人投資家は新規資金を株式市場に投入し始めたので、変化の兆しはある。日本の年金基金は最大級の日本株の売り手だ。大部分のアナリストは年金基金は株式下落相場で痛めつけられたショックが残っていると見ている。しかし一部には3年連続して株価が上昇し、債券をアウトパフォームしているので年金基金も見方を変えると見る向きもある。
ところで東京証券取引所の公開データ(ホームページ)で投資部門別の買越・売越の状況を見ておこう。(以下東証1部のみのデータ)
2004年度の状況は、総額では3,544億円の買い越しで、外国人は7兆4,181億円の買い越し。個人は3兆7,121億円の売り越し、投資信託は4,215億円の買い越しで、信託銀行(大部分は年金基金)は2兆9,086億円の売り越しだった。
足元の今年10月については、外国人は1兆26億円の買い越し、個人、投信はそれぞれ1,263億円、876億円の買い越しだが、信託銀行を含む金融機関は合計で1兆816億円の売り越しになっている。
日本株のパフォーマンスが良くても儲けるのが外国人ばかりでは寂しい限りである。