金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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失業率は景気の先行指標?

2008年12月07日 | 社会・経済

一般に失業率は景気の遅行指標を言われている。何故なら企業は景気が悪化しても、できるだけ雇用を守ろうとするからだ。ところが今回の米国の景気後退局面では、失業率の増加の法が、景気後退に先行しているという記事をエコノミスト誌で読んだ。

記事によると全米経済研究所のHall教授は、1990年代以降のリセッションとそれまでのリセッションの大きな違いは、後者では生産量の低下が先に起こり、その後失業率が上昇したが、前者では失業率の増加がより迅速に時としては、生産量の減少に先行して起きていると指摘している。米国のリセッションは昨年12月から始まったと全米経済研究所は今月始めに発表している。

失業率の増加は昨年12月に始まっているが、2007年の第3四半期のGDPは拡大していることがその証左だ。

さて米国では昨年12月から2百万人失業者が増えた。なお失業者とは「職を探している人」を指すので、「職探しを諦めた人」は含まれない。昨年12月以来米国では職探しを諦めた人が60万人強いるので、実質的には270万人ほどの人が職を失ったといわれている。

企業は景気の悪化を見越して、雇用の削減を行う結果、失業率が景気の先行指標になる訳だが、雇用の削減を行うこと自体で景気を悪化させている面もあるだろう。日本でも派遣社員や臨時雇用が増えていて、今回の不況で職を失うことが報じられている。派遣社員をカットすることで、企業は経費を抑え、減産・減収に備える。企業としてはやむをえない対応だが、国民経済の観点からは景気悪化を増幅させていることは間違いないだろう。

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