ムーディーズは16日にビッグ3の将来に関する3つのシナリオの確率を発表していた。第一は政府支援により近未来のチャプター11を回避する確率が25%、第二の政府主導のプリパッケージド・バンクラプシーの確率は70%、第三は突然死的な破産で確率は5%だ。第二と第三のシナリオを合計すると75%だ。
このような予想は自己実現的な要素を持っている。つまりビッグ3が倒産する確率が高いと判断する消費者は、ビッグ3の車をますます買わなくなる。また自動車メーカーが倒産することに恐怖を持つディーラー達は、自動車メーカーがチャプター11を申請する前にできるだけ、在庫資金を借りようとする。米国では自動車メーカーが出荷する自動車代金の75%程度を融資しているようだが、これをできる限り使おうとする訳だ。こうなるとクライスラーなど自動車メーカーはますます資金繰りが厳しくなり、現金不足から倒産する可能性が高まる。
10年程前日本で金融危機が起きた時ムーディーズの格付を見て預金者が、格付の低い銀行から預金を引き出すことに奔走した時代があった。その結果銀行の合併等金融再編が進んだ。このように格付とは非常に強い力を持っている。そして時としてその予想は自己実現的である。
ムーディーズの予想と関係があるのかどうかは知らないが、昨日クライスラーは今週末から30の総ての工場を最低1ヶ月間操業停止すると発表した。ニューヨーク・タイムズによると、ビッグ3の年末休業は通常は2週間だが、フォードも休業期間を1週間延ばすということだ。
休みが空けたら、会社がなかった・・・・という悪い冗談が起こらなければと思うが、ありえない話ではない。デトロイトの冬は寒そうだ。