今朝(29日)の通勤電車は空いていた。余りに沢山のことが起きた1年が漸く終わろうとしている。今年の初めにこれ程の不景気が到来することを予測できた人はどれ位いるだろうか?私もこのブログや小さな雑誌で米国の景気後退や中国のスランプは予想していたが、これ程までの速度で世界経済がリセッションに向かうとは思わなかった。
来年の予想も難しい。今日日経ヴェリタスを見ると来年の日本の株価予想についても、極端に幅があった。確実なことは誰も分からないということだけが、確実なことだろう。
ただ米国の株式相場を見ている限り、恐怖指数と呼ばれるVIX指数も40代前半まで低下(これでも平常時よりかなり高いが・・・)してきた。市場は当面政府が何をしようとしているのかが読めてきて、一応ポジティブに見守っているようだ。オバマ新大統領の上級顧問アクセルロッド氏は「オバマ新大統領は6,750億ドルから7,750億ドル程度の範囲で経済刺激策を取るだろう」と先週テレビで話をしていた。日本円でいうと65兆円程度だ。
一方日本の景気刺激予算については12兆円の景気対策を含む補正予算政府案が先週まとまった。「これだけでは不十分だ」という意見も多いが、中川財務大臣はファイナンシャル・タイムズのインタビューで「この上景気刺激の追加予算を求めるのは、朝飯を食べる前に晩飯のメニューに悩むようなものだ」と牽制球を投げている。
揚げ足を取る訳ではないが、私など休日はまず晩飯に何を食べるかを考えて、昼飯のメニューを組み立てている(朝はパンとコーヒーに決めているので影響を受けない)。小出し小出しの予算ではいつまでも満腹感が得られず、馬力がでないかもしれない。
アメリカの大型財政発動は、結果として大量のドル札増刷を意味するから、ドルの相対的価値は下がる。もし日本が景気刺激と円高防止を一度に行おうと考えるなら、大量のお札を配るのが一番良い。それも一人1万2千円の定額給付金などではだめだ。もっと多額にもっと恒久的にお札を配る必要がある。だがいわれのないお金を配ることはできない。ではどうすると良いのか?
私は「老人医療や介護を極力公的負担でまかなう」高福祉国家への転換が一つの選択肢ではないか?と考えている。「国が老後の福祉を見る」ということであれば、高齢者やその予備軍は財布の紐を緩めることができる。当然税金や社会保険料を引き上げる必要があるが、それは消費税でまかなう。
国の経済規模や成り立ちが違うので、一概には言えないが国民の負担が高い北欧の高福祉国家(ノルウェイ、スウェーデン、フィンランドなど)が、一人当たりGDPで世界の上位を占めていることを見ると何かヒントがあるような気がする。
日本をどうしたいのか?という政治のメッセージがあるのかどうか?ということが、日本の最大の不確実要素かもしれない。来年も・・・・・・。