12月20日付の週刊ダイヤモンドに「金融危機後の世界経済」という記事があり、その中でジョージ・ソロスが次のように述べていた。「ここまで続いたスーパーバブルにおける成長の原動力は米国の消費者でした。米国人は生産する以上に消費してきた・・・・しかしそのエンジンはもはや故障してしまった。別のエンジンが必要になったのです。私の考えではそれは結局エネルギー関連になるでしょう。」
再生可能で地球環境に優しく現実的な代替エネルギーということで注目を浴びているのは「風力発電」だ。風力発電は発電に適した風が吹く場所が限られる日本では注目度が低い。しかし世界的には代替エネルギー源として着目を浴びている。最近のエコノミスト誌にも特集が出ていた。ポイントを拾うと次のようなことだ。
- 最初に「ウインドファーム」(風力発電所)がカリフォルニアに出現したのは1980年代初めの頃だ。その回転翼は直径15m程度で発電能力は数十キロワットだったが、現在では発電量は数十倍の1.5-2.5メガワットに向上している。回転翼の直径は100m規模に拡大している。
- スタンフォード大学の研究によると全世界の潜在的な風力エネルギーは7万2千ギガワットで、全世界のエネルギー需要の5倍近い。
- 風力発電コストは2007年にはキロワット当り10セントで、トン当たり30ドルのカーボンガス課税が行われると、風力発電は火力発電に対して価格競争力を持つ。
- EUは2020年までにエネルギーの2割を再生可能エネルギーに切り替える目標を設定しているが、風力発電に依存するところが大きい。米国ではエネルギー省が2030年まで風力発電がエネルギー需要の2割に達するという計画を立てている。風力発電設備メーカーには1,2年分の注文が積みあがっている。
風力発電の新しい方向は海上型の風力発電だ。地上型に較べて海上型は建設コストが4割程度高いが、巨大な回転翼を設置できるので潜在的な成長性は高いと専門家は見ている。
繰り返しになるが、日本では風力発電に適した風が吹く建設適地は余り多くない~また回りの海も水深が深いので海上型のウインドファームの建設もコストがかかる~。このため風力発電への関心は余り高くない。だが発電設備メーカーとして三菱重工業などは注目を集めている。
2009年の大きなテーマの一つはクリーン・エネルギーになるだろう。日本の政府も少し目線を高くして、エネルギー問題に取り組むべきだろう。ジョージ・ソロスは「失業者を代替エネルギーや省エネルギー技術の開発などに活用することが世界恐慌から抜け出す道であると信じている」と結んでいた。