金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

レイオフ回避に動く米企業

2008年12月22日 | 社会・経済

常識と思っていることは、時に固定観念に陥る。不況期には米国企業にはレイオフが当たり前だと考えるのも、下手をすると誤った固定観念なのかもしれない。ニューヨーク・タイムズにMore firms cut labor costs without layoffsという記事が出ていた。「より多くの企業がレイオフなしに労働費削減を行っている」という内容だ。

例えばデルやホンダは無給休暇を拡大しているし、モトローラは賃金カットで労働費削減を行っている。ネバダ・カジノズのように週4日勤務にしているところも増えている。確定拠出年金への会社拠出を一時的に抑えているところもある。

とはいうものの、レイオフが最大の人件費削減手段であることには変わりはない。調査会社のワトソン・ワイヤットによると、11月には26%の会社が来年レイオフを考えていたが、今月は23%に減っている。景気の見通しは悪くなっているのに、レイオフを考える先が減ったことは注目しておいて良いかもしれない。

レイオフよりも勤務時間削減等で対応することを考えている会社が増えているということは、従業員に対する温情からの対応ではない。レイオフをして中堅社員を失うことの損失が大きいと会社が考えているからだ。又一時的な賃金削減を従業員が受け入れるということはその方が中長期的に見て良いと判断しているからである。

ところで日本の労働市場で今問題になっていることは、派遣社員の契約打ち切りだろう。これについて大手商業新聞を見ると「政府にできることは限られている」という論調が多い。読者にこれをあたかも「常識」として押し付けるかの如くにだ。だがこれは日本の誤った固定観念に過ぎないかもしれない。例えば「同一労働・同一賃金」の思想が強いオランダなどでは、正社員と臨時社員の所得格差はそれ程大きくはない。つまり日本の派遣社員問題の背後には同一労働・同一賃金の思想がないことが横たわっている。

日本の新聞が大企業寄りの「見解」を述べるのは、彼等が広告主だからである。その上に乗っているだけの政府はまことに無責任といわざるを得ない。

失業問題についていうと中国では大学卒業者の失業問題や地方から出稼ぎに来た人達の失業問題が極めて重要な政治課題になっている。下手をすると第二の天安門事件を引き起こす可能性があるからだ。

アメリカのレイオフから話が飛んでしまったが、今世界は失業問題と真剣に向き合う時に差し掛かっている。常識や固定観念を捨ててモノゴトを直視する必要があるだろう。

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血糖値を押さえる食事

2008年12月22日 | 食・レシピ

ダイエットに特別強い関心はなかったが、ニューヨーク・タイムズを読んでいると「血糖値を押さえるには豆やナッツが良いだろう」という記事が出ていた。健康食や食事療法というものは、時々変わるのでどれ程当てにして良いかは疑問だが、グリセミック指数の開発者であるジェンキンス教授の研究なのでそれなりに信用できる話だと私は思っている。

グリセミック指数GI指数とは消化された食べ物が血糖値を上昇させる速度をブドウ糖を100として相対的に示したものだ。この指数が低い食べ物ほどインシュリンの分泌を押さえることができる。

今回の研究では210名の2型糖尿病患者を2グループに分けて、一つのグループにはGI指数の低い食品(豆、レンティル豆、パスタなど)をもう一つのグループにはシリアル(全粒パンなど)や高繊維質の食品を与えた。

6ヶ月後の結果を見るとGI指数の低い食品を取ったグループでは、ヘモグロビンA1Cレベル(ヘモグロビンと結びついた血糖:中期間の血糖値の指標)の若干の低下とHDL(善玉コレステロール)の顕著な増加があった。一方シリアルグループではヘモグロビンA1CとHDLの若干の減少があった。

この研究の結果は長年言われてきた「ホールグレイン(漂白していない食物)を食べるだけでは不十分でGI指数が低い食品を食べることが重要」ということを示している。ところがボストン糖尿病センターのある指導員は「GI指数は食品の調理方法によっても変わるので、食事療法は複雑である」といっていた。

折角だからどのような食品がGI指数が高くて、どのような食品が低いかあるホームページで調べてみた。http://www.rakuten.co.jp/keyray/678801/679603/ 

高いのは餅・白米で85程度。主食系で低いのは玄米56、全粒パン55。やさいではジャガイモが90と高い。大豆は30と低い。アーモンドやピーナツも30程度と低い。ただしこちらはかなりカロリーが高いが。なおざっとみたところでは海藻類はGI指数が12-19程度と非常に低かった。またカロリーも低いので健康食と思われる。もっとも米国などでは海藻類はSeaweedといって軽蔑しているようなので健康食の対象にはしなかったのだろう。因みにWeedには雑草という意味の他に「嫌な奴」とか「痩せてひょろひょろの奴」という意味がある。

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