今日(1月13日)の日経新聞朝刊トップの記事は「金融機関、高齢者サポート」。記事によると店頭で認知症の顧客を助ける支援員は全国で16万人。これは金融業全体の従業員160万人の1割に相当する数ということだ。
記事によると「高齢化に伴い金融機関が抱える主な経営課題」は「地域密着型の中小金融機関が重視する『独居高齢者の安否確認』」「認知症への対応~接客を担うサポーターの増員や成年後見制度への取り次ぎ」「資産管理の強化」だ。
「資産管理の強化」では「生活費の確保や円滑な相続を想定。遺言書の作成や口座の本人確認」があがっていた。
特に円滑な相続については「円満かつ円滑な相続」の推進を目指している日本相続学会としても、具体的な提言などを通じて、協力するべき重要な課題だと考えている。
円滑な相続についていえば昨年末から情報収集等準備を進めていたのが、「預金相続手続きの簡素化」だ。金融機関が遺族からの連絡等で預金者の死亡を知ると預金者=被相続人の口座は凍結される。そして預金の相続意手続きが完了するまで原則払い出しはできない。相続手続きは被相続人・相続人全員の戸籍謄本をそろえ、遺産分割協議書や個々の金融機関に提出する「相続手続依頼書」(これは金融機関によって名称は異なる)に相続人全員の実印の押印・印鑑証明書の提出が求められる。
これらの手続きは多くの人にとって滅多に行わない作業だし、相続財産を巡って争いがある場合は、遺産分割協議書を整えるのは一大作業だ。不慣れな相続人に変わって、最近は金融機関や司法書士が遺産整理業務の代行を行うケースも増えているようだ(実は不動産の登記と自動車の名義変更など以外の預金・株式等の名義変更は誰でも代理ができる)。
金融機関手続きで面倒なのは、金融機関ごとに「相続手続依頼書」が異なり、かつこれに全相続人に記名・実印押印を求められることだ(一部に例外はあるようだが)。
今後相続手続きが増える中で手続きの簡便化・統一化を図る必要があるだろうと私は考えている。