金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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スマートフォンが奪ったもの

2014年02月06日 | ニュース

昨日(2月5日)は二つの象徴的な出来事がニュースになった。一つは日経朝刊が報じていたソニーがパソコン事業を投資ファンドの日本産業パートナーズに売却する方向で最終調整に入ったというニュース。もう一つはマイクロソフトのビル・ゲーツ会長が会長を辞任して、技術顧問に就任するというニュースだ。

これはパソコンがスマートフォンにシェアを奪われたことの象徴的な出来事だ。

IDCの資料によると2010年に出荷台数でスマートフォンはパソコンを上回り、12年の出荷台数(世界ベース)は約10億台とパソコンの3.15億台の3倍になっている。

スマートフォンがパソコンのシェアを奪い、ソニーのパソコン事業を奪い、ビル・ゲーツの会長職を奪った訳だ。

これは象徴的な出来事だったが、スマートフォンが奪っているものは他にも数多くある。たとえばゲーム機専用メーカーのシェアを奪い、テレビの観客を奪っている。また紙ベースの出版事業を奪い、物品のネット販売を通じて、店舗を構える小売店の売上を奪い、同じく店を構える旅行会社の仕事を奪っている。つぶさに見ればスマートフォンがこれまでに奪ったもの、そして今後奪うものは枚挙にいとまがない。

今世界の株式市場は米連銀の金融緩和策の減速が新興市場経済に与える影響、そしてその影響が米国経済に与える影響を見極めようと慎重姿勢を強めている。だが本当に見極めなければならないのはスマートフォンをプラットフォームにしたネット主体の産業革命の影響なのだ。ネット主体の産業革命は確実に雇用を奪っている。おそらく3Dプリンターが普及し始めると更に雇用は奪われるだろう。

米国サンフランシスコでは、ドットコム長者が家賃と不動産価格を釣り上げているという怒りの声が高まっている。ネット産業革命は富を1%の成功者に集中させている。

ビル・ゲーツ氏は記者会見で「IBMが聞けばがっかりするだろうが、創業以来の最大の強敵はグーグルかもしれない」と述べた。

健全な市民社会の発展の点からは、非常に気になるネット産業革命による所得格差の拡大だが、投資の観点からは勝ち馬に乗らざるを得ないと考えている。

たとえばグーグルの株を保有しておくというのも一つの手だ。ただしグーグルの株価は現在1,143ドル取引単位は10株だから投資するとなると120万円近い金額になる。もっともグーグルは4月に株式分割をする予定なので、一株当たりの株価は下がり少し買いやすくなるだろう。

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