今日(11月11日)日経新聞ネット版(紙はお休み)で、気になった金融記事が2つありました。「SBI、福島銀行に出資」と「メガバンク2強に理系トップ誕生か」です。
新聞記事は一つ一つの意味を考えるより、時系列的に眺めたり、複数の記事の関連を考える時、何かが見えてくると思います。
今日の二つの記事から容易に推測できることは「低金利や高齢化で苦しんでいる銀行がデジタルトランスフォーメーションやフィンテックに向けて漸く動き出した」という現象的なことです。
加えて私は日本の金融界でも、データや情報処理を真剣に考え、情緒的・感覚的・主観的経営判断から、ビックデータをベースにした経験的で客観的な経営判断に流れが変わろうとしているのではないか?と考えています。
さて冷静に銀行や証券会社と情報の繋がりを考えてみると30年位前まで、大手銀行や大手証券会社は「非公開情報のみならず公開情報も制度的に握っていたが、インターネットの発展でこのような情報寡占はなくなった」ということができます。
私が30年程前外債ディーラーをしていた時の例から一つのエピソードを述べます。その頃長期にわたる過去の為替レートや内外の長短金利などをグラフ化するにはそれなりにお金のかかるデータベース(公開情報)を購読している必要があり、我々はそれを一つの武器にして取引先に情報提供を行っていたのです。
しかしインターネットの発達によりこの程度の情報は誰でもほぼ無料で手に入れることができるようになりました。つまりインターネットの発達は情報を寡占していた金融機関の優位性を奪ったのです。そしてその優位性は大量のトランザクションデータを収集することができるアマゾンやグーグルというネットの巨人に移ったというべきでしょう。
メガバンクに理系トップが誕生するとすれば、それは単に社内のデジタルトランスほーメーションを進めるというだけではなく、「ビッグデータをどのように金融業務に結びつけるか?」を真剣に考えている証かもしれません。