習近平政権は「ゼロコロナ」政策を事実上終了させた。人民日報は習近平国家主席が「国民の生命や健康を守るため、愛国衛星運動を展開しなければならないと強調した」と伝えている。ただし習近平主席はゼロコロナという言葉は使わなかった。
中国がゼロコロナ政策を終了させた理由の一つは、入国時の厳しい隔離措置が外資系企業にとって経済活動の阻害要因になってきたからだ。
だがゼロコロナ政策を終了しても、中国国内の経済活動が活発になるとは限らない。それは日本などに移住を希望する中国人富裕層が急増しているからだ。
WSJはWealthy Chinese, fed up at home, find a haven in Japan(中国人富裕層は自国にうんざりし、日本に天国を見出す)という記事でこの問題を取り上げていた。
記事は小樽の不動産ブローカーの談話から始まる。そのブローカーによると日本に移住する足掛かりとして不動産を購入したいという中国人からの依頼が殺到している。
中国人が不動産を購入する理由の一つは賃貸物件のポートフォリオを構築すると「経営管理ビザ」を取得できることにあるようだ。
記事によると今年1月~10月の間に経営管理ビザで入国した中国人は2,133人でパンデミック直前の2019年の通年記録1,417人を上回っている。
2019年の国連統計によると中国人移民は米国が290万人と最も多く、次が日本の78万人で、カナダとオーストラリアが続く。
しかし最近ではアメリカの移民規制が強化されたことで日本に移住を希望する中国人が増えている。
日本の経営管理ビザの必要資本要件は米国などに較べると非常に低い。日本のビザ取得要件は資本金又は出資額が500万円以上(約4万ドル)だが、米国では80万ドル、中国人に人気が高いシンガポールでは約185万ドルと言われている。
また日本の不動産価格が安いことも中国人富裕層を引き付ける要因だ。
記事は「小樽の家を買う値段では、北京のトイレも買えませんよ」という不動産ブローカーの談話を発表していた。
パンデミックを通じて中国人は政府により生活が乱されるリスクや悪くすると逮捕される危険性を実感した。
国を出ていく経済力やスキルのある中国人がさらに日本を目指すことは自然な流れかもしれない。それをビジネスチャンスに変えることができればwin-winかもしれないが・・・