金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

株価急落の犯人キャリートレードのポジション解消まだ終わらず?

2024年08月06日 | 投資
 昨日(8月5日)の日本株は1987年のブラックマンデー以来の大暴落となり、世界の投資家の耳目を集めた。日本の一般投資家の中にも「アメリカの景気が悪化しそうだということなのになぜ日本株が世界で一番下落するのか?」という疑問をお持ちの方も多いと思う。
 このなぞを解くカギの一つがキャリートレードにある。 
 
 キャリートレードというのは、円のように金利が低い通貨で借入を行い、金利の高い通貨やリスク資産に投資する手法で前提になっている条件は「借入通貨の為替レートが安定している」ことや「投資対象のボラティリティが低い」ことがだ。
 だが少し前からこの条件が崩れ始めた。一つは日米の金利差が縮小するという予測や日本の為替介入で急速な円高が進んだことだ。円高が進むと借りた円を返済するために、より多くの外貨資産を売却することになり、キャリートレードのうまみがなくなるからだ。
 「金利の低い円を借りて、日本株を買っていた外国人投資家が急速な円高を恐れてポジション解消を始めたため、日本株が大きく売り込まれた」ということだろうか。

 WSJによるとヘッジファンドや機関投資家は、7月初めの時点でネットベースで140億ドル相当以上の円安に賭けたポジションを持っていたが、先週までにこれらのポジションは約60億ドルまで削減された。
 さて急速な円高の進行で、投資家達はキャリートレードを手じまいしたかというとWSJはまだそうではないだろうというINGのアナリストのコメントを紹介していた。それはこれまで円にエクスポージャーのある投資家や銀行はヘッジコスト削減のために為替ヘッジを行ってこなかったが、これからヘッジ比率を高める可能性がある、というものだ。ヘッジを増やすということは円の需要が増えるということなので更に円高になる可能性がある訳だ。

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