昨日(8月8日)の米国株式市場は、3市場とも大きく反発した。
S&P500は2.3%、ナスダックは2.87%、ダウは1.76%上昇した。
株価を押し上げた要因は、失業保険申請数が、233千人と前週の250千人やダウジョーンズの事前予想240千人を下回ったことだ。
これにより先週の雇用統計発表後、高まっていた米国の労働市場の減速に対する懸念が一部緩和された。
また円が弱含んだことも好感され、株価の反発が進み、S&P500は、今週月曜日の下落を相当取り戻し、今週の下落幅を0.5%まで取り戻した。
先週末から今週初めにかけては、弱い雇用統計と日銀による政策金利引き上げ見通し(そしてその後のハト派的発言)により、相場は大きく下落したが、少し落ち着きがでてきたようだ。
WSJはS&P500 jumps 2.3% in best day since 2022という記事の中で、バンガード社のエコノミストの「我々も多くの市場参加者同様、市場が示している敏感さにある程度困惑していた。経済のファンダメンタルズに関して何か重要な変化があったとは考えていない」という言葉を紹介していた。
またパリバのアナリストは「(この暴落は)不景気による弱気相場の始まりではなく、ポジショニングによる暴落だと考える」と述べていた。
経済のファンダメンタルズの悪化に伴う相場の下落は、暴落というより、持続的な株価下落が一般的だ。それに較べてポジショニングの調整による下落は、急激だか一過的であるのが特徴だ。
おそらく米国株は多少の紆余曲折を経て、元の水準に戻っていくだろうが、ドル円の相場はしばらくは160円時代までは戻らないかもしれない。円は座り心地の良いところを探してしばらくボラティリティが高そうだ、と感じている。