長期的な低迷を続ける日本と色々な問題を抱えながらもコロナ禍を克服して成長軌跡に復帰しつつあるアメリカ。この違いはどこから来るのでしょうか?
その違いは幾つかの要因が絡み合っているので、単純化し過ぎることは危険でしょうが敢えて一つの要因を上げれば、クランボルツ博士の「計画的偶発性理論」をキャリア形成論の一つに取り上げたことではないか?と考えています。
「計画的偶発性理論」とは、IT技術の進化と経済のグローバル化の中でキャリア形成は計画的には進まず、ターニングポイントの8割は偶然に決まるという理論です。クランボルツ博士は「何をしたいかという目的意識に固執し過ぎると目の前に訪れた想定外のチャンスを見逃しかねない」と指摘しています。
クランボルツ博士はキャリアの8割は偶然決まるというのは実際の調査に基づくものだと述べています。
アメリカ人の何割の人がクランボルツ理論を信奉しているかは知りませんが、リカレント教育とかコロナ禍からのリカバリーの状況を見ているとクランボルツ的な考え方は広くアメリカ社会に根を下ろしていると私は考えています。
クランボルツ理論に立って考えると環境変化は職業選択にチャンスを与えるポジティブな材料となります。しかし日本では環境変化は従来の職業を失うマイナスの出来事と考え、環境変化に抵抗する勢力が結構大勢います。
一例でいうとコロナ禍を契機としてオンライン診療はアメリカやヨーロッパでは拡大していますが、日本ではほとんど伸びません。それはオンライン診療で仕事を失うと考える医療関係者の人が多いからです。
ですから日本ではIT化が中々進まないのです。IT化が進まないので優秀な人材が旧態依然とした仕事に留まり成長分野への人材シフトが起きないのです。
これが人口減少とともに日本が長期低迷に陥っている最大の原因なのです。
私はクランボルツ理論の重要なポイントは「偶然を呼び込むための行動特性を高める」点にあると考えています。
偶発性を高める行動特性とは「好奇心」「持続性」「楽観性」「柔軟性」「冒険心」だと博士は述べています。
平たく言えばこれらの行動特性が高まれば多くの人と出会うチャンスが増え、多くの人と出会えば、キャリア選択のチャンスが増えるということなのです。
これは働いている人だけではなく、シニアにも当てはまることだと思います。充実したシニアライフを送るには社会や人々との関わりは多い方が良いでしょう。その社会や人々とのつながりを生むのは出会いという偶然なのです。だから出会いを増やそうと思うと計画的に偶発性を高めると良いのです。そのためには好奇心や冒険心を大事にすることだと私は考えています。
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