金融そして時々山

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中国の住宅価格下落は懸念材料か?

2014年10月25日 | 社会・経済

ロイターが公的データに基づいて計算したところでは、中国の9月の住宅価格は前年比1.3%下落した。これは過去2年間で初めてのことだ。中国の住宅価格は下げ幅は小さくなっているとはいえ5か月連続で下落した。住宅関連産業セクターは40におよびGDPの15%を構成していると言われているから、住宅価格の下落は一般には懸念材料と思われる。

だがCNBCが報じるところでは投資銀行のゴールドマンザックスは、中国の不動産市場のスローダウンはそんなに怯えるほどのものではないという。ゴールドマンによると、中国の住宅バブルは、供給サイドが引き起こしてきたもので、需要者が引き起こしたものではないということだ。従って政策担当者が住宅ローンの条件緩和等の措置をとれば、需要を喚起することができると同社は判断をしめしている。ゴールドマンは中国では、GDPに対する住宅ローン債務の比率が低いので、住宅ローンの条件緩和は住宅販売戸数を伸ばす可能性が高いと判断しているのだ。

ところで別の情報だが、マッキンゼーは「全世界ベースで見ると、都市の3億3千万の世帯が不良住宅に住んでいるか、あるいは住宅コストに圧迫されて食糧やヘルスケアに事欠く状態になっている」という。

マッキンゼーは家計が住宅に支払うことができる支出額を収入の3割以下と定義し、その基準を超えた支出額の全世界の合計額は6千5百億ドルと推定している。これは全世界のGDPの約1%に達する。この支払可能額と実際の支払のギャップは大都市に集中している。特にインドのムンバイのような低所得都市では、ギャップは10%に及ぶという。

住宅費の圧迫は、住環境を悪化させ、児童の教育費や医療費を圧迫し、大きな社会問題の源になっている。

個人的な意見だが、もう少し中国特に都市部の住宅価格が下落して、一般労働者の手が届くようになるべきだろうと考えている。さもないと多少住宅ローンの条件を緩和しても、一般労働者は住宅ローン返済に圧迫されて安心した生活を送ることができないはずだ。ということで私はゴールドマンとは観点は違うが、住宅価格の下落は長期的には中国の持続可能な発展につながるので、慌てるほどのことではないと考えている。

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