昨日(11月19日)岸田内閣は55.7兆円の財政支出を決定した。これに対しては日経新聞は「未来を切り開くのか過去に戻るのかどちらを向いているのかわからない経済対策だ」と批判している。
WSJもこの経済対策について冷ややかな見方を示していた。
そもそも近年日本の政治や経済がWSJで話題になることはあまりない。世界経済やマーケットに与える影響が乏しいので話題にならないからだ。
経済対策に関する記事もマーケットに対するインパクトを考察するようなものではなく、日本の財政規律の欠如を皮肉るようなものと考えてよいだろう。
岸田内閣の経済対策の前にアメリカではバイデン政権が2兆ドルのインフラ計画を発表している。岸田内閣の経済対策とバイデン政権のインフラ計画は支出目的が違うので単純比較はできないが、財政赤字に悩む両国がさらに借金を重ねる上では共通点がある。
岸田内閣の55兆円はドルベースでは4,900億ドルでバイデン予算の1/4だ。日米のGDPは米国のGDPが約20兆ドルで日本のそれは5兆ドル強なので日本の経済規模は米国の1/4である。つまり国の経済規模に対する財政支出つまり新たな借金負担という点では両国の支出額は同じ程度だと考えてよいだろう。ただしバイデン計画は法人税の増税など収入面での配慮もある。
そもそも米国では、コロナ対策でこれ以上の大盤振る舞いをすることは、景気を過熱するだけだという懸念がある。今回のバイデン予算も老朽化したインフラ対策に加えてクリーンエネルギー対策も含まれている。
つまり相当未来志向の予算でもある訳だ。
WSJは日本では昨年8月以降コロナ感染者は減少に転じ、最近では1日あたり2百人程度の感染者が出ているに過ぎないのに、コロナ対策にお金をかけ過ぎているのではないか?という論調で批判している。
アメリカや中国の経済は、コロナ感染拡大以前のレベルに戻っているのに日本はまだその水準に戻っていない。
こんな状態で支援金を配る政策を採ると生産性改善に取り組まないから考え直した方が良いだろうというのがWSJが言いたいことなのである。
ただ今のところ日本の借金が増えてもそれほど世界に影響がないので声高な批判は控えているというところだろう。
だが日本人だけで日本の国債を買い続けることができるのはいつまでも続く話ではない。どこかで日本の財政破綻にかけて大儲けを企んでいる人がいるような気がするが如何なものだろうか?
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます