今年の相場を動かす大きな要因の一つは米連銀がいつ政策金利の引き上げを決定するか?という点だが、その時の鍵になるのが、FOMC議事録の中のpatient(我慢する)という言葉だろう。1月27-28日のFOMC議事録(3週間後に発表)では、they can be patient about rate increases(金利引上げを我慢することができる)という言葉を従来どおり使われるともっぱら予想されている。このことは、少なくともあと2回のFOMCを終えるまで、つまり巷間言われるように今年の6月まで金利引上げは行われないことを示唆していると判断される。
このことはもし連銀が6月に政策金利を引き上げるとするならば、3月のFOMC議事録からpatientという言葉が取り除かれるだろうという推測を呼んでいる。
投資家の動きを見ると、6月の金利引上げ見通しは少し後にずれると予想する筋が増えていることが推測される。FFレート先物は年初の0.2%から0.16%に低下しているのはその兆候だ。
金利引上げ時期が遅れると予想する根拠は、低インフレ率と債券利回りの低下だ。先週労働省が発表した12月の消費者物価指数は前年比0.8%増にとどまった。価格変動の激しい食品・エネルギーを除いたコアインフレ率は1.6%上昇しているが、10月の1.8%、11月の1.7%に較べると低下傾向にあることも、連銀が金利引上げ時期を遅らせるのではないか?という憶測につながっている。
このような環境の中、注目しておきたいのは、セントルイス地区連銀のブラード総裁の発言だ。ブラード総裁は、経済調査会社マクロエコノミック・アドバイザーズの調査によると、昨年最も(つまりイエレン議長よりも)米国債券市場に影響を与えた人物だ。
ブラード総裁は月曜日に行われたWSJのインタビューで「金利引上げを始め、金融政策を正常化することが重要だ」「金利を引き上げたとしても、それは極めて低い水準だろう」「インフレ率はゼロ金利政策を正当化するほど低い水準ではない」と述べ、大方の予想よりも早い3月までに金利引上げを求めている。
WSJによると、FOMCのメンバーは、自然失業率を5.2-5.5%と想定している。つまり失業率がこの水準を越えて低下すると、賃金上昇圧力が生じると考えられる。しかし12月の失業率が5.6%とほぼこの水準に近づいても、賃金上昇圧力が高まらないことから、ボストン地区連銀総裁のローゼングレンなどは、自然失業率の水準を引き下げ見直しすることを考えていると述べている。
もし引下げ見直し勢力が増えると、政策金利の引き上げは後ずれするだろう。
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