先週火曜日に起きたネパールのアンナプルナ・ダウラギリ山群で起きた大規模な吹雪と雪崩による遭難事故。土曜日時点のニュースによると日本人2名を含む39名の死亡が確認されているが、行方不明者が多く被害は拡大するだろう。
事故が起きたのはアンナプルナ・サーキットと呼ばれるアンナプルナ(8,091m)を一周するトレッキングルートの中のマナンや一番標高が高いトロン・パス(峠)5,416mの少し手前の付近だ。またアンナプルナの西に位置する8千メートル峰・ダウラギリでも登山者の遭難が報道されている。事故の原因は、季節外れの雪崩と猛吹雪。通常10月のネパール・ヒマラヤはポスト・モンスーンと呼ばれる天候が安定する時期だが、インドを襲った台風の影響で猛烈な雪が降ったようだ。
私は昨年11月にアンナプルナにトレッキングに出かけた。歩いたのは一周コースではなく、アンナプルナ・サンクチュアリ(内院)・ルートと呼ばれるアンナプルナ主峰の内懐を往復するコースだったが、今回の事故には衝撃を受けている。
昨年は天気が良く雪が降るようなことはなかったが、内院ルートにも何カ所か側壁から雪崩に襲われる危険性のある場所があった。アンナプルナのような高山では、トレッキングルート(谷底や河岸の土手など)の上には数千メートルの岩壁がそびえていることが多い。山の上に降った雪はこの岩壁や岩壁の中の細いルンゼ(溝)を音もなく滑り落ちてくることがある。トレッキングルート自体にそれほど雪が降っていなくても、数千メートル上の雪が雪崩となって落ちてくることがあるから油断がならない。
アンナプルナはネパール語で「豊穣の女神」という意味だそうだ。「A」の音が多く明るい響きのアンナプルナだが、言葉の優しさとは裏腹に雪崩事故の多いことでも有名な山だ。
ヒンズー教の神々については、一つの神様の中に「慈愛」と「憤怒」が同時に存在しているという話を聞くことがある。その意味するところはピンとこなかったが、今回の事故を見て、アンナプルナには「豊かな雪解け水で農耕を助け、豊穣をもたらす」慈愛の形相と「雪崩やブリザードで人や生き物の命を奪う」憤怒の形相がある、ひょっとしたらこのことを指すのかしら、と感じた次第。
実は私は来月エベレスト方面にトレッキングに出かける予定なので、今回の事故については強い関心を持っている。The Guardian紙によると、当局は悪天候の警告をトレッカーたちに伝えなかったことを批判されているという。登山隊の場合は、独自で気象予報を入手しているが、「好天気が続く」ことを前提にしているトレッキングの場合、余り天気予報に関心を払っていなかった(自分の経験でも)。これからはもう少し天気予報に注意しようと思う。
次に事故に巻き込まれた人は「ガイドなし」でトレッキングをしていた人が多かったというコメントも目にした。ガイドがどれほど頼りになるかは疑問(昨年のガイドは大学生でアンナプルナの経験はなかったようだ)だが、今年は多少高くても山岳経験の豊富なガイドを雇おうかな?と考えている。
I would like to express sympathy for the death of people.
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