金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

学びは学びを呼ぶ。これには理由があります。

2024年05月13日 | ライフプランニングファイル
 以前「支出が支出を呼ぶ。はっきりした理由がある場合もあるが、マーフィーの法則の場合もある。」と書きました。
 同じような文脈で考えると「学びは学びを呼びます」。そしてこちらは理由がはっきりしていると思います。実は今月下旬にネパールに小学校を建設支援してきたNPO団体で講演することになっていて、今月の初めから準備資料を作っています。
 準備資料というのは、ネパールの経済発展の現状や教育セクターの開発計画の成果に関するものです。最初に集めた資料に基づいて、話のストーリーはほぼ固まってきました。次の段階は、もっと聴き手の関心を高めるにはどうするか?という工夫の段階です。そのためにはネパールの話だけでは、インパクトが薄い。お隣の大国でネパールの兄貴分のインドではどうなんだ?という話も触れてみたい。インドに触れるなら中国にも触れておきたい、と調べることはどんどん広がります。
 見せ方にも知恵を絞ります。「複数のグラフを組み合わせてこんなグラフを作ると分かり易いな」と思うと、検索エンジンなどでエクセルのグラフの作り方にあたる場合もでてきます(昔はよくグラフを作っていたので覚えていましたが、今では忘れたことも多いですね(笑))。
 つまり何か知的な活動をしようと思って、学び始めると次から次と知りたいことがでてきて、新しいを学びを呼ぶのです。
 学ぶことが老化防止につながるという話はよく耳にします。
 江戸末期の儒学者佐藤一斎は「老にして学べば、則ち死して朽ちず」と言いました。
 だがアウトプットのない学びはどうも張り合いがありません。講演とか雑誌に記事を書くというのは、絶好のアウトプットの機会です。
 そんな機会は減ってきましたので、少ないチャンスを活かして、学びの起点としたいと思いました。
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しゃべる前に考えなさい。考える前に本を読みなさい。

2024年05月11日 | ライフプランニングファイル
 〇〇ハラという言葉をテレビ番組などでよくみかけるようになりましたね。
 最近話題になっているのは、東京都が条例化を目指しているカスハラでしょうね。カスハラ、カスタマーハラスメントとは顧客がものやサービスを提供する企業に理不尽なクレームをつける言動をさします。時々病院の会計窓口などで居丈高に怒鳴っている高齢者を見かけると「自分はあんな風にはなりたくない」と思います。もっとも無意識のうちに腹をたててカスハラに近い言動をとる可能性はあります。とくに列車が大きく遅れた時に鉄道会社の駅員などが杓子定規な対応をとる場合などです。でも窓口の担当者を怒鳴ったところでほとんどの場合、良い結果は得られないでしょう。むしろ腹を立てた分血圧が上がり、健康を害したり、最悪の場合は、カスハラ条例違反で逆襲されることも今後でてくるでしょう。
 だからカスハラは避けた方が良い。ではどうすれば避けることができるでしょうか?その答の一つがニューヨークに住む娘が以前送ってきたマグネットプレートに書かれていました。
 Think before you speak. Read before you think.
 これはフラン・レボウイッツというニューヨーク在住のエッセイストの言葉ですが、覚えやすくていいですね。
 腹が立っても、感情に任せてしゃべりださない。話す前に考える。で、なにを考えるか?一つはどうすれば自分が欲しかったものを手に入れることができるか?なにがその不都合が状況の中でベストの解決方法なのか?
 イライラを相手にぶつけるより、冷静に「相手が契約不履行状態にあること(たとえば正当な対価を払っているのに、約束したものやサービスが提供されていないこと)を相手に分からせ、合理的な解決策を提供させる」ことです。
 色々な契約には、書面でかわされた契約書があり(ほとんどの場合読んでいませんが)、サービス提供者の免責事項が記されている場合が多いと思います。「そんなことは知らん。俺は読んでいない」で勝てるとは限りません。
 一歩引いて「この場合は企業側が免責されるのだな」と冷静に考えることが必要でしょう。
 Think before you speakは、カスハラだけの話ではありません。おもいつきで話を始める前に、少々愚図だ、と思われても状況や相手のことを考えるというのは役に立つ人生訓でしょう。



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急成長を続けるインドのアキレス腱は成人識字率の低さか?

2024年05月07日 | 投資
 インド経済の好調さは、インドに投資を行っていない一般の人々の関心も引いているはずだ。それは先月IMFがGDPでインドが来年にも日本を抜いて世界第4位の経済大国になる可能性があると報じたことにある。今回インドがGDPで日本を凌駕するとしても、それは円安のため、日本のGDPがドルベースでは低く計算されることによることが大きい。しかしインドの足元の経済成長率は7.8%と日本の1.9%を大きく凌駕しているので、遅かれ早かれインド経済が日本経済を規模の面で追い越すことは間違いない。
 そのインドで4月19日から選挙が始まった。9億7千万人の有権者と1.5千万人の選挙管理者を巻き込んだ世界最大の選挙であり、選挙は6月まで続くそうだ。地球温暖化の影響で暑いインドは更に熱くなり、最高気温は華氏120度(セ氏49度)に達するのではないかと言われている。
 その暑いインドの選挙の行方を熱いまなざしで見守っているのは、中国に取って代わる可能性のあるエマージング市場の投資に興味のある投資家だ。
 そして何よりも、この選挙により所得格差が少しでも是正されることを願っている多くのインドの人々だろう。
 WSJのIndia's boom face a pitfall: Sharing yhe wealthという記事によると、選挙の大きな争点はいかにして、所得格差を是正するか?具体的には相続税や所得税を使っていかに所得の再配分を行うかが大きな論点になっているようだ。
 超富裕層、たとえば所得の上位1%に所得が集中している度合いでは、インドは中国やアメリアを抜いて、経済大国の中では世界一だ。中国では1%の人が全所得の15.7%を得ているが、インドでは22.6%の所得を得ている。
 またインドでは国民全体の所得の過半(57.7%)を上位10%の人が稼いでいる。これは中国43.4%やアメリカの48.3%を上回っている。WSJの記事によるとインドを上回る所得の上位集中があるのは南アフリカだけだ。南アフリカでは上位10%の人が全所得の65.4%を得ている(データソースはWorld Inequality Lab)。
 つまりインドは世界トップクラスの所得格差大国である。その大きな理由は、インドでは45.5%の人が生産性の低い農業に従事し、製造業従事者は11.6%に留まっていることだ(建設業は12.4%)。
 経済成長の先行モデルである中国の場合、田舎の農民を生産性の高い都市部の工場労働者にシフトしたことが経済成長のエンジンになっているが、この点インドは遅れているといえる。
 これは記事にはかかれていないが、私はインドで農民層を生産性の高い分野へのシフトが進まない大きな理由は成人識字率が低いことにある考えている。中国の成人識字率は96.2%だが、インドのそれは68.4%に留まる。
 世界的にみれば、インド人の活躍は目覚ましく、特にIT企業の幹部や人工知能エンジニアに多くのインド人を見つけることができる。
 一方低い成人識字率を見ると、インドの教育システムが中国に較べるとボトムアップ型でなかったことが推測される。
 インド急成長の落とし穴が、経済格差であるとすれば、その格差の大きな原因は教育格差であるということがいえる。この教育格差を埋めるには、成人層の再教育が必要だろうが、それは容易ではないだろう。
税制改革など経済政策だけでは、乗り越えることができない大きな課題をインドは持っていると見るべきかもしれない。もっともそれが投資のアキレス腱になるかどうかは別の話だが。
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米雇用データ、予想を下回り、金利引き下げ見通しで株価上昇

2024年05月04日 | 投資
 昨日(5月3日)発表された米国の雇用データは、4月の非農業雇用者増が175千人と事前予想の240千人を下回った。失業率は3月の3.8%から3.9%に微増し、賃金は前年比3.9%上昇した。賃金の上昇率は3月の4.1%を下回った。
 これらのデータは雇用市場のペースダウンを示唆し、金利先物市場では、連銀が9月に政策金利を引き下げる可能性が10%上昇し、約70%になった。
 投資家は雇用市場のペースダウンを好感し、3市場とも上昇した。相場を牽引したのはIT銘柄で、1,100億ドルの自社株買いを発表したアップルは6%近く値を上げた。ナスダックは2%上昇し、ダウとS&P500は1.2%前後上昇した。
 


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「株は5月に売って11月に買え」は今でも通用する格言?

2024年05月02日 | 投資
 昨日の米国株はパウエル議長の「連銀の次の動きは金利引き上げではない」という発言を好感して、最初は大きく買われたものの、チップメーカーの決算に失望した投資家の売りで下落した。ダウは0.23%の上昇を確保したものの、S&P500、ナスダックは0.3%強下落した。
 4月の米国株は冴えなかった。S&P500とナスダックは4%下落し、ダウは5%下落した。相場の格言を知っている人であれば「株は5月に売って相場を離れ、また11月に買えばよい」という米国の格言を思い出しているかもしれない。
 夏場は市場がvolatileなのでリスクに較べてリターンが低いという経験則だ。ただしWSJの記事によるとこの格言は過去ほど有効ではないということだ。その理由の一つは夏場以外でも相場のvolatilityは高まっているからだ、そうだ。
 日本には「休むも相場」という格言がある。年中、株式売買を繰り返していると、全体を相場を冷静に見れなくなり、リスクを取り過ぎる、たまには頭を冷やそうという趣旨だ。
 連銀はインフレの膠着を認めながら、金利は据え置いた。一方保有する国債については満期分の再投資は行わないと述べた。量的金融引締めで、これは投資家に好感をもって受け止められた。連銀が我慢するように、我々も我慢しよう。しばらく。第一四半期のような上げ相場がいつまでも続くわけがない。
 

 
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