聞いただけではよくわからないので、じっくり読みました。
2つのことが特に印象に残りました。
1つは環境問題を重視し、それを新たな産業と雇用の創出に結びつけようとしていること。もう1つは、文章のイメージ喚起力が豊かなこと。
環境問題に関しては、初めの方でアメリカのエネルギー消費を反省しています――
- 私たちのエネルギー消費方法が、敵を強め、地球を危機に陥れているという新たな証拠が、毎日のように明らかになっています。
そして、アメリカの置かれている試練に立ち向かう方策を打ち出す中段において――
- 私たちは科学を正しい位置に建て直し、ヘルスケアの質を高め、コストを軽減するためにテクノロジーの驚異を活用しよう。太陽と風と土とを自動車の燃料にし、あるいは工場を動かすようにしよう。
と、自然エネルギーの活用を謳っています。
文章のイメージ喚起力については、特に終盤に注目しました――
- 堤防が決壊した時、見知らぬ人を招き入れる親切心。友が仕事をなくす姿を見るよりは就業時間を減らして仕事をわかちあう労働者たちの無私の気持ち。そういったものが我々を困難な時期から救い出します。煙が充満した階段に突入する消防士の勇気が、子どもを育てる親たちの意志が、最後には私たちの運命を決定するのです。
ハリケーン・カトリーヌの際の助け合いや、トゥインタワー崩壊の際に活躍した消防士たちを具体的に思い出させることで、国民に誇らしさを取り戻させ、勇気を奮い起こそうとしています。名文といっていいでしょう。
生き生きとして、力のある文章を書くことのできるスピーチライターの力量と、それを可能にするオバマ大統領の方針の明確さを感じました。