一昨日、推理作家協会賞贈呈式会場へ行く前に、荒木町のギャラリーゑいじうへ寄り、YOUCHAN個展「SO IT GOES」を拝見しました。
タイトルは日本語にすると「そういうものだ」。カート・ヴォネガットの小説に繰り返し出てくるセリフですね。
個展はYOUCHANが継続して開いている「文学山房」シリーズの4回目ということになるようです。今回はヴォネガット作品をテーマにした作品が主体。
作風はこちらのサイトをご覧いただければてっとり早いかと思いますが、童話ふうで、SFチックで、可愛くて、心地よい。
キュビズムや未来派に近いかなぁ、という気もします。特に未来派。
機械主体に未来を夢見た美術運動は前世紀の初めに起こり、すぐに力を失いましたが、「失われた未来」として今でもノスタルジックな魅力を発揮しています。それをメルヘンへと転化させ、今日のデザインとして甦らせようとしているのかもしれません。
平面的な造形は、かすかな陰影による立体感が施され、ペーパークラフトのようでもある。
色使いは空間の奥行きを感じさせ、まるでビー玉を覗きこんだ時のような彩りです。童心を失わない、玩具箱的宇宙。 「Windy Robot」と「百鬼園」のポストカードを購入しました。今度はYOUCHANと内田百閒先生について語り合いたいものです。
写真は曙橋駅からゑいじうへと登る坂道から見上げた風景。街を裏側から見るようで素敵でした。八角形の高層ビルは「タワーレジデンス四谷」。23階建てだそうです。