中国の高級輸入家具屋のダビンチが、国産家具を輸入家具と偽って販売していた疑惑が消費者を怒らせている。
この問題は先週中国最大の国営放送・中央電視台が取り上げているが、ニューヨーク・タイムズも取り上げていた。その中でタイムズは「中国のメディアの中である顧客が『ダビンチは真珠の中に魚の目玉を混ぜて売るトリックを使っている。だから我々顧客は真珠(=輸入家具)の料金を払って魚の目玉(=中国産の家具)を買った』と怒っている」と報じている。だからブログの題を「真珠に魚の目玉を混ぜる」とした訳だ。
「真珠に魚の目玉・・」という表現は、調べてみると、後漢時代の道士・魏伯陽の「魚目混珠」という言葉が語源である。「魚目混珠」は英語の解説を見るとPass fish eye off as pearlとあるので「魚の目玉を真珠と偽って売る」(pass offには「偽物をつかませる」という意味がある)という意味だ。日本語(これも出所は中国の古典・晏子春秋だが)では「羊頭をかかげて狗肉を売る」というところである。
この疑惑についてダビンチ側は否定しているが、上海税関は「ダビンチが自由貿易特区に国産家具を保管して、輸入品に見せかけていた」と言っているので、私はクロだろうと思っている。
先進国製のハードウエア・ソフトウエア等の模造品を販売して、先進国のライセンスを侵害している中国だが、一般に国民は偽造行為に寛容である。というのは偽造品が本物より安いから偽造品を承知の上で買っているからだ。だが偽造品に本物並みの値段を払ったとなると怒り沸騰という訳だ。
これを機会に偽ブランド作りなど止めて欲しいと思うのだが、中々難しいかもしれない。「羊頭狗肉」とか「魚目混珠」という四文字熟語が古代からあることは、長い偽造品の歴史を物語っているからだ。
アメリカの株式市場では中国企業の決算操作が問題視されている。これもまた「魚目混珠」の一種なのだろう。