金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ギリシャの債務交換協議、合意は本当に近いのか?

2012年01月11日 | 金融

ギリシャ国債の50%ヘアカット(債務免除)については合意に近いという観測も流れているが、ニューヨーク・タイムズの記事を読む限り、チキンレースのような駆け引きがギリギリまで続きそうな気がする。

ギリギリの時期というのは今年の3月。更に絞り込めば国債の大口償還(140億ユーロ)期日が到来する3月20日が一つの山場だ。この国債償還資金を含めてギリシャが300億ユーロの資金援助をEUとIMFから受け取ることができないとギリシャは確実にデフォルトする。

ニューヨーク・タイムズによると、事実上は既に破産しているギリシャの3月満期の国債をヘッジファンドなどの投資家が買い上げているという。もっと満期が長い国債の取引価格は額面の2割程度だが3月満期の国債は4割程度で取引されている。市場は長期的にはギリシャのデフォルトは避けられないが、3月満期の国債は外部の救済資金で償還されるだろうと判断しているからだ。

だが話は単純ではない。ギリシャがEUとIMFから資金援助を受けるには、民間債権者が自発的に約50%のヘアカットに応じる必要があるからだ。このヘアカットによりギリシャは元利払い費用を2014年までの間、1,000億ユーロ削減することが期待されている。またこれによりたいGDP債務比率が現在の143%から2020年には120%に減少すると予想される。なおIMFには50%のヘアカットでは、ギリシャ財政は持続不可能として民間セクターに更にヘアカットを求める声が強い。

数ヶ月前までは自発的ヘアカットは実現性があると考えられていた。というのは民間債権者の大部分は欧州の銀行だったからだ。だが多くの欧州の銀行はギリシャ国債をヘッジファンド等に売却してしまった。

銀行はそれぞれの国の政治的圧力を受け易いので、自発的ヘアカットの可能性が高かったが、ヘッジファンドにはそのような圧力は通じない。ヘッジファンドはギリシャは3月まではデフォルトしないだろうと計算しているから簡単には自発的ヘアカットに応じようとはしない。

だがギリシャがデフォルトを避けるにはEUやIMFの資金が必要で、そのためにには民間債権者の譲歩が必要・・・・という一種の循環参照的現象が起きている。

また「包括的行動条項」(集団行動条項)を債券の約款に織り込もうという動きもあるが、これも両刃の剣だ。Collective action clausesと呼ばれるこの条項は、多数の債券保有者の決議が少数の反対者にも及ぶという条項だ。つまり多数の債券保有者がヘアカットに合意すると、少数の反対者も従わざるを得ないという条項だ。だが一部のアナリストは「そうなるとヘアカットは自発的なものでなくなり、クレジットデフォルトスワップの引き金を引く」という考え方を示している。つまりギリシャのデフォルトだ。

誰かがこの複雑な関係に解決策を提案できるだろうか?それともタイムアウトとなるのか?中々予想しがたい・・・・

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車の買い替えを検討中~アイドリング・ストップの問題点

2012年01月11日 | うんちく・小ネタ

9年間乗ってきたX-trailの買い替えを検討中だ。新しい車のターゲットはフォルクスワーゲンのゴルフで目下情報収集中だ。

昨日の新聞にワーゲン社がパサートにアイドリングストップ(Start/stopシステム)を付けたという広告が出ていたので、ワーゲンのセールス担当者に「ゴルフはアイドリングストップを付けないのか?」と聞いてみた。

担当者が言うには「ゴルフの1.2TSIトレンドラインにはその内搭載する予定ですが、その上のクラスの1.4TSIコンフォートラインとハイラインには搭載する予定は今のところありません」ということだ。

そして担当者は「アイドリングストップシステムというのは、省エネ上良さそうなのですが、バッテリーやセルモーターに大きな負荷がかかるという問題があります。またある程度走行して充電が進むまでは停止してもエンジンストップはしません」というアイドリングストップシステムの問題点を指摘した。

アイドリングストップシステムのついていない車を手動でエンジンを切り再びエンジンをかけることを考えてみよう。まずバッテリーを使ってセルモーターを回し、燃焼室の燃料濃度を高め、点火し、ファンベルトに負荷をかけながらオールタネーター(発電機)を回すということが行なわれる。これは故障しやすいところを酷使することを意味する。

もっとも自動車メーカーのアイドリングシステムは進歩している。たとえばマツダの二代目アクセラで実用化しているシステムでは、セルモーターを回すことなくエンジンの点火だけで再始動できるというから、セルモーターへの負荷はなくなっている。

だが専門家の意見を見ると「ドライスタート(油膜切れの状態でエンジンをかけること)の繰り返しでエンジンへのダメージが大きい可能性がある」などの指摘もある。

省エネ手段として注目を浴びているアイドリングストップシステムだが、マイナス面もあることを認識した次第。

またアイドリングストップシステムが省エネにどの程度貢献するかは停車頻度によるはずだ。一般的には大きなバッテリーを積めるパワーの大きな車種に同システムを搭載すると良いのだろうが、ゴルフは一番パワーが小さいクラスに載せるという。

これはこのクラスのユーザが街乗りを中心としていると判断しているからなのだろう。そして松竹梅の松・竹クラスに同システムを導入しないということは、松・竹ユーザーはロングドライブを目的にしていると判断しているからなのだろう。

ハイブリッドを含めて車の色々な省エネシステムについては、まず自分がどのような車の使い方をするか?ということを明確にした上で消耗部品や基幹部品の損傷や故障を計算に入れて判断するべきだということを改めて認識した。

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