1月21日土曜日朝から雨。ジムに出かけようかどうしようかと迷いながら、インターネットでエコノミスト誌を眺めていたら、「運動がなぜ健康に良いかが分かり始めた」という記事が出ていた。
記事はネイチャー誌に最近発表されたテキサス南西メディカルセンターのLevine教授の研究を取り上げている。同教授は「運動は少なくともある程度はオートファジー(自食作用)を促進することで健康促進に貢献する」という理論を実証しようとしている。
オートファジー(自食作用)というのは、細胞が自らのタンパク質を分解してしまうことで古くから知られていた。その起源は自食することで、外部から栄養源を摂取できない時にエネルギー源を補給したことにあると考えられている。
現在ではこの自食作用はバクテリア感染に対する対抗措置や神経細胞の障害を遅らせる上で効果があることが知られている。
アルツハイマー病の一つの原因は細胞内構造物でエネルギー供給源となるミトコンドリアの過剰分裂がシナプス(神経細胞の伝達部)に障害をもたらすことだと考えられている。ミトコンドリアの中でグルコースと酸素が反応してエネルギーを放出するが、しばしば遊離基という酸化した微粒子を生み出す。これが老化現象を引き起こすもとだと考えられている。
だからシナプスに障害をもたらす等老化の原因となる傷ついたミトコンドリアを自食作用で減らすことが老化防止に役立つと考えられる訳だ。
Levine教授の実験ではネズミをトレッドミルの上で30分間走らせたところ、自食作用の過程で形成される自食胞(オートファゴソーム)が増えていることが分かった。
この実験で運動が自食作用を促進する可能性が高いことは分かったが、自食作用が寿命を延ばす効果があるかどうかについては研究チームの次の目標だ。だがネズミのように寿命の短い動物を使った実験でも老化に関する実験は長い時間を要する。
運動による自食作用促進が健康維持や老化防止に役立つという説の正しさが学問的に実証されるのを待っているとその間にも老化が進みそうだ。
エコノミスト誌の記事には自らトレッドミル(ランニングマシン)で走っているLevine教授の写真が載っていた。
さあ、冷たい雨が降っているけれど私もジムに出かけて小1時間走ってみよう。