金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

日本の昨年度の貿易収支は赤字予想

2012年01月13日 | 金融

財務相が昨日(1月12日)発表した速報によると、11月の経常収支は前年同月比85.5%の減の1,385億円の黒字となった。経常収支の大幅減の原因は貿易収支の赤字だ。11月単月の赤字は5,851億円で、昨年通年では、1963年以降50年ぶりに貿易赤字になると予想される。

エコノミスト誌は「80年代と90年代日本の巨額の貿易黒字は、欧米の保護貿易主義者の大衆受けする攻撃材料だったが不均衡は持続しない」と述べる。貿易収支が赤字に転落しても、巨額の対外投資からの配当により経常黒字は暫く続きそうだ。しかしたいGDP比で見ると、2007年には5%あった経常黒字は昨年は2%まで落ちている。

エコノミスト誌は海外の金利低下等で経常黒字も数年の内に消える可能性があるが、それは良いことなのか悪いことなのか?と問題提起する。

同誌は円高の進行と高い法人税により、メーカーは生産拠点の海外移転を進め、例えば自動車業界では2014年までに日本の自動車メーカーは生産高の76%を海外シフトするだろういうJPモルガンの予測を紹介している。JPモルガンの菅野氏の予想では2015年までに日本の経常収支は赤字になると予想しているが、反対意見もある。世界の経済成長と日本の輸出産業は菅野氏の予想より強いというのがその論拠だ。

だが構造的には日本の経常収支は縮小する方向に向いている。貯蓄・財政赤字・経常収支の間には「貯蓄超過は財政赤字と経常収支に等しい」という関係が成り立っているので、貯蓄が減少したり、財政赤字が拡大すると経常収支は縮小し赤字に転落する可能性があるのだ。

現在のところ日本では家計の貯蓄減は企業の貯蓄増でカバーされているが、これがいつまでも持続するという保証はない。財政赤字の拡大も考えるとこのまま行くと時期はさておき日本の経常収支は赤字に転じると予想される訳だ。

エコノミスト誌は経常収支の縮小が「国内消費の拡大や投資による貯蓄減」によるものだったら、日本とそれ以外の国にとって良いニュースだが、「単に輸出の低迷やエネルギー高によるもの」だったらそれは日本とそれ以外の国にとって悪いニュースだと結んでいる。

ところで経常収支が赤字に転落すると円安になり、輸出競争力が回復して、貿易収支がプラスになる・・・・というのが経済学の理屈だろうが、必ずしもそうはいかないのが為替の世界だ。

2009年頃まで円安が続いた主な理由は、先安感のあった円を借りて高金利通貨に投資するというキャリートレードにあったいわれている。そして今はユーロがキャリートレードに使われている。為替が必ずしも経常収支を反映しないとすると、短期的には経常収支の縮小が円安ドライバーにはならない可能性もあるだろう。

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億劫相別れて須臾も離れず

2012年01月13日 | デジタル・インターネット

「億劫相別れて(しかも)須臾も離れず」というのは鎌倉時代の高僧・大燈国師の言葉である。億劫つまり非常に長い間別れていても、気持ちは須臾(片時)も離れていない・・・と言う意味だと解している。その意味や格調高そうな表現が好きで私は会社のメールの書名欄の下にこの言葉をつけている。

「億劫相別れて須臾も離れず」という言葉を実感するのは、古い先輩・友人からブログのエントリーにコメントを貰ったり、フェイスブックでコメントを貰ったりする時だ。昨日も山岳部時代の某先輩から、今の山岳部の軟弱ぶりを嘆いた私の記事に共感するというお手紙をワザワザ頂いた。電子メールではなく紙の手紙だったのは、某先輩がある雑誌に寄稿された記事のコピーを同封されたからである。

この先輩とは久しくお会いしていないが、古い山の先輩・後輩の間には「同じ釜の飯を食った」という基盤から年を経ても通じる思いがあると改めて認識した次第。

ところで大燈国師の言葉には続きがある。「尽日相対して(しかも)刹那も対せず」である。

一日中顔を突き合わせているが一瞬として心が通うことがない・・・という意味だ。

パソコンや携帯電話の上を多くのメールなどが飛び交う。「どこで何した」など他愛もない多くの情報が流れるが、そこに心が通い合っているかどうかは疑問だ。当たり障りのない軽い人間関係の緩やかな輪が広がるが心はつながっているのだろうか?

メール、ブログ、フェイスブックなどを使うと遠く離れた距離や時間を簡単につなぐことができる。しかし幾ら言葉が飛び交っても、気持ちを共有する基盤がないと心は離れている・・・・ということを大燈国師は七百年離れた過去から現在に向けて教えてくれているのである。

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私達の福島応援スキーツアー

2012年01月13日 | うんちく・小ネタ

毎年3月頃会社の山仲間を中心に1,2泊のスキーツアーを行なっている。これまでは長野の八方尾根や新潟の苗場に行っていたが、今年は福島県・裏磐梯に行きグランデコや猫魔スキー場で滑る予定だ。観光客やスキー客の減少に悩む福島県に多少なりともお手伝いができれば・・・と思っての企画だし、このブログもその気持ちで書いている。

私が企画しているプランは次のようなものだ。

宿泊場所は裏磐梯猫魔ホテル。往復の交通手段は東京駅前からでるホテルの専用シャトルバスで往復4時間で5,000円だ。新幹線を利用すると最短3時間程度で行けるので、少し時間がかかるがコストと乗換の手間を考えるとかなり魅力的だ。

魅力的というとトータルパッケージの値段の安さだ。往復バス代+二泊三日の宿泊・朝夕バイキング付+2日間のリフト券で31,000円。かなり魅力的だと思う(もっともある程度人数をまとめたのでこの料金が出たのかもしれないが)。

イベント挙行時期は3月第1週だが、ホテルの方によると「部屋は結構空いていますよ」というお話。スキー旅行を考えられている方には一つの選択肢になると思いますよ。

さて今日(1月13日)の日経新聞朝刊を見ると「東京都が2012年度、福島応援ツアーに日帰りにも1,500円を助成」という記事が出ていた。「日帰りにも」というのは、、昨年9月から今年2月一杯まで東京都が宿泊客に一泊3,000円の助成金を出していたからだ。ただしこちらは先着200名までということで既に終了している。ただし助成金は旅行会社が企画したツアーに限られるので、私の企画のような個人旅行では助成は受けられない。

もし官民上げて福島県の観光をサポートするのであれば、もっと使い勝手が良くて幅広い仕組み~例えば企業や健保が宿泊領収書で補助金を出すとか、医療費控除のような所得控除を認めるとか~があっても良いと思うのだが・・・・・

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