本棚を整理していたら「定年後-豊かに生きるための知恵」(加藤仁著 岩波新書)という本が出てきた。50代の中頃、この類の本を何冊か買って読んだことがある。その内の一冊だった。しかしもう処分(アマゾンかブックオフで売る)しても良かろう、と思い今一度パラパラとページを繰っていた時、出くわしたのがこの一言だ。
書かれている実例を紹介しよう。
熟年離婚をしたある女性は、もともとアイスクリームが好きだった。だが自宅でそれを食べると、夫は嫌な顔をする。あるとき妻は風邪を引いて寝込み、夫にアイスクリームが欲しいと頼んだ。自分たちが住むマンションの前にアイスクリームの販売店があるので、会社帰りに買ってくるのは、難儀なことではない。だが夫は買って帰らず、「そうか、忘れた」の一言ですませ、そこまで出かける様子もない。それからまもなく夫婦は離婚にいたったという。
著者は「妻が『やってみたい』と言うことに対して、絶対に夫はNOを言ってはならない。数多くの退職者の事例から、私はこの大原則を教えられている」と述べている。
いや、妻以外の色々な相手、例えば会社の同僚部下、取引先、遊び仲間でも、極力NOという言葉は避けた方が良い。それは相手の全面的否定につながるからだ。
この本のお陰がどうかは知らないが、私は極力ワイフにNOと言わない様にしている(もっとも正しいかどうかはワイフに聞かないと分からないが)。
妻のたっての望みであれば、なにはさておき夫はYESとこたえなければならない、と著者の加藤さんは結んでいる。