顧問先の内定者向けにソフトスキルに関する講話をする予定なので、WSJのある記事が目に留まった。
Employers find 'Soft skills'" like critical thinking in short supply(事業主はクリティカル・シンキングのようなソフトスキルを持った人材が不足していることに気づいた)
当然アメリカの話で概要は次のようなことだ。
- 全米で企業は「明瞭なコミュニケーション能力」「イニシアチブをとる能力」「問題解決力」「仲間との協調性」といったソフトスキルを持つ人材を採用することが次第に難しくなっている。
- WSJが昨年約900名の経営者に行った調査では92%がソフトスキルはテクニカルスキルと同様かまたはそれ以上に重要だと言っていた。しかし89%の経営者はソフトスキルを持っている人材を採用することは程度の差こそあれ困難だと述べていた。
- 世界最大のプロフェッショナルネットワークLinkedInが複数の会社に採用申し込みをした人間と1年間に転職した人材のプロファイルを調査したところ、ソフトスキルの中でコミュニケーション能力が一番重視され、オーガナイズ能力、チームワーク力、時間厳守、クリティカル・シンキング、社交知識、創造力、適応力が続いた。
- 雇用者側はソフトスキルの不足している従業員に教育投資を行うよりも、ソフトスキルを持った人材の採用を好む傾向があるようだ。
企業がソフトスキルに関する教育を行うよりも、スキルを持った人材を採用することを選好するところはアメリカ的だ。
だがもしソフトスキルが先天的なものまたは先天的でないにせよ習得に時間がかかるものであるとすればその判断は正しいかもしれない。
ところで日本で定年退職した人がハローワークなどで「何ができますか?」と聞かれて「部長です」などと答えると相手にされず、具体的にどのようなテクニカルスキルを持っているか?を詳細に聞かれるという話を聞いたことがある。
仮に部長がソフトスキルに優れた人材だとすると、ポストオフした後はソフトスキルではなく、テクニカルスキルが重視されるということなのだろうか?
あるいは日本の企業の部長など管理職は本当のソフトスキルを持っている訳ではなく、調整力だとか雑談力といったソフトスキルのごく周辺的なスキルを持っているに過ぎないということなのだろうか?
などとあまり本筋とは関係のないことを考え始めたのでこの話はこのあたりでやめにしたい。